2012,2,26 AM1
黒い色眼鏡をかけているうちは多少強引にでも対象を悪く見ようと無意識にしてしまうものだ。
その様子は蚊帳の外から見ているとはなはだ道化じみていて滑稽だが、当事者的には全く楽しくなさそうなその手の道化を、間接的なメリットすらなしに能動的に演じることなどできるのだろうか。と不意に疑問に思ったが、そもそもそんな質の悪い道化を演じてしまうような人間に、自身を道化だと気付く能などあるはずがなかった。
まあ、メリットがないのに、が前提だから、批判スレへ集まっていく彼らは共感とかそういう快感を求めに行ってるのだろう。煽りってそうやって演じるものよね。
残念ながらクラウンよりオーギュストが好きである。
面白いは正義。正義という言葉が嫌われるならこう言い換えよう。面白くないは悪。
/今月の新刊/受賞作
いや、正直軽く絶句してる。
しんじんしょう……って書いてないけど、その類だったよね?
で、できはいいのかもね。読んでないんで、個々のクオリティに関してはノーコメント。
でも、このラインナップ、どのあらすじも、その……よく言えば、優等生?としか。
手堅すぎるよー。
新風っぽさが全然だよう。
本屋小売でもない私が嘆く必要はないんだけどさー。
目新しさがどんだけ皆無なのこれ。どころか手垢の付きっぷりがすごいんですけど。
「○賞」のラベルはがして「新作」ってつけて下の方に並んでくれたら全く違和感ないよ?
知り合いの本屋さんに聞いたら案の定売れてないらしい。その人の店では、だけど。
なんというか、そんなに他にいなかったの?と編集部に尋ねられるなら尋ねてみたい。
あんまりもしかしたらと繰り返していると失礼だが個々の出来は普通に期待していいものなのかもしれない(実際あらすじを見る限りどれも「面白くなさそう」ではない)。だが、そういう基本的なクオリティの問題を差し引いたときに、パッと華のあるもの、とんがった目を引くものがないと買う側はそそられないんじゃないだろうか。それこそ新人賞なんて、買う側からしたら「何か新しい刺激」をそこへ求めるのがほとんどだと思う。長年文芸サークルなんてところにいればわかるが、4月になるとどんな「新しい書き手」が入ってくるだろうかと多かれ少なかれワクワクするものだ。新人賞もそれと似たところがあるはずだ。なのにこのラインナップでは、一定のクオリティを備えた投稿作の中にオリジナリティの飛び抜けたものがなかったか、あるいは選考側のモチベーションが低いのかと疑わざるを得ない。
毎年欠かさず実施していればハズレ年なんてのもあるのだろうけれど、電撃は分母が大きいだけににわかには信じがたい。
まあ、冷静になってみればこの業界における商品のマンネリ化や体系化なんて今さらなのかもしれないけれど。しかしそれでも企業には売る気満々でいてほしい、というのが一消費者の願い。うだつの上がらない露天商みたいな売り方されても……。
とりあえず電撃は広告、というか新刊情報のページにもうちょっと力入れるべき。私は毎月あそこで新刊をチェックするが、あのページの味気なさが購買欲削いでると言っても正直過言ではない。
/読書

- 作者: 神崎紫電,鵜飼沙樹
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近接戦闘中の描写は正直タルいのですっ飛ばして読むが、それでも戦闘始まってからの展開の方はめまぐるしくて楽しい。中だるみしないケンカ格闘戦を読みたい人にはオススメできる。もうずっとドンパチやってればいいんじゃないかってレベル。いや他は読めたもんじゃないしさ。
それはともかく、イラストのカットの取り方がイマイチかゆいところに手が届いてない。絵師の腕がそこそこあるだけにますます惜しい。主人公が覚醒した直後で幼女大写しにされてもなあ。その幼女の絵は他で充分稼いでるし。

- 作者: 比嘉智康,はましま薫夫
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小ネタのセンスと密度もさることながら、伏線が何よりすごい。布石やフラグでなく伏線(伏せてある線)である以上、回収されるまでそれとわからないわけだが、「あの小ネタが忘れたころにオチへつながる!」をなんと複数同時発射してくる。オチにしても二段だったり三段だったりで思いもかけず、読める展開と読めない展開をないまぜに使いこなしてこちらを楽しませてくれる。これを職人芸と言わずしてなんと言おう。