2012,4,8 PM9 【映画録『マイ・バック・ページ』】
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局所的に盛り上がるということはなく、全体的にずっと静かな作品なのだが、それがすごくきれいに出来上がってる。押しつけてくるテーマもなく淡々としているためやはり美しいとしか言いようがないが、それゆえに邦画もまだまだ捨てたものじゃあないと思わせてくれる一品。静止したカメラワークが多いがいっそ静止画でほしい、写真集がほしいと思えるような、グッとくる街の風景が多い。
また妻夫木・松ケンの両雄がすばらしい。これは役者映画となじるべきでない部類だ。役者と映画が一体となり、役者が大部分を占めながらも作品のパーツとして完璧に同化できているのだから。
監督・脚本は『リンダリンダリンダ』と同じ山下・向井コンビ。山下監督は『天然コケッコ−』から三年ぶりにメガホンを取ったとか。共にコメディ色の強い作品だったせいか、今作をあの人が作ったのかと多少驚いたりもした(実際は三池監督とか幅広い人を知っているのでそれほど驚かない)が、何よりも驚いたのがこんな(思想的に)危ない橋を見事渡り切った、変に現代の価値観に合わせて美化したりあざとく感動を呼ぼうとしたりせず、淡々と描き切ったその手合いである。素人の私がこんなことを言うのは気色悪いことかもしれないが、彼らは日本でも数少ない“映画職人”として、カンヌにほど近い場所にいるような気さえする。