case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2012,5,4 PM7 【映画録『ブラインドネス』】

今週のコレジャナイ。長かった。冗長な作品でも耐えられる自信はあるのだが、これは途中で飽きた。
テーマ性の深さに関してはなるほど、海外の評価が高いのも充分に頷ける。しかし深いというよりは多彩、悪く言えばとっちらかってるように見えたのも事実。シナリオの配分もそっちにばかり割くから筋がよくわからない。しかも淡々としている。カンヌの好きそうな「お芸術」という感じではあるが、こうもシナリオをテーマのためのツール化されてやりたい放題されてしまうと自分は作品に入り込めない。話がどこへ向かうのか最後までさっぱりだった。
感情移入に関しても同様。これにはさらに描写の上滑り感と表現のぬるさが影響していると思われる。やたらと寓話チックでどこかリアリティの間が抜けているというか、悪夢の方の意味で細かいところが夢見がちだというか。描写の上滑り感に関しては、おそらく観客が視えない人間の身にならなくてはならない場面なのに観客には何もかも見えてしまっているという齟齬が大きめの一因だろう。たとえば、登場人物には見えていない障害物の存在が観客にはすでにわかってしまっている、とか。これはさすがに媒体の悲劇と言わざるを得ない。映像は何らかの工夫と意図を持たない限り情報をうまく制限できないからだ。さらにリアリティが必要な舞台でありながら寓話の色が強いことも含め、一人称の小説ならば容易に作品へ入り込めたのではなかろうか。と思っていたら原作は評価の高い小説のようだ。機会と時間があれば読んでみたい。
白の闇 新装版

白の闇 新装版


返信
>QTL_chickenさん
状況が状況ですのでそちらに非はございませんわ。
申し訳ないといえばこちらも協力し切れませんで、恐縮です。