case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2012,8,14 AM12 【映画録『茶の味』】

茶の味』英題:The Taste Of Tea
日本映画(クロックワークス)、2004
監督・脚本/石井克人

茶の味 グッドテイスト・エディション [DVD]

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とりあえず最初に特殊メイクでじいさんに扮して出てくる我修院達也に「!?」となる。
その後しばらく、パパンな三浦友和や手塚のママンあんた仕事何?真弥ちゃんかわかわ、浅野さんチィーッスとかやってると、浅野扮する登場人物の回想に、寺島進が出てきたのを見て絶叫する。
アニキイイイイイイイイ仕事選んでくれエエエエエエエエエ!!!!
頭にウ〇コを乗せたヤクザの幽霊はすばらしいインパクト。左はネタバレすると面白くなさそうなので反転。
他にも「松ケン先輩」とニックネームで呼ばれているデビューしたての松山ケンイチやリアル高校生の土屋アンナ、同姓同名のまま登場する轟木一騎などで、昨今のよくある役者映画かと思いきや結構雰囲気が違っている。処々は漫画チックだがそれとも少し違って、全体的に児童文学のような、世界観は大人のそれも孕みながら、いい意味で児童文学か絵本のような作風、そういったもののいいとこ取りをしたようなテイストなのだ。
登場人物たちはそれぞれに悩みを抱えている。恋や仕事、家庭といった、日常にありふれたもの。それもかなり重大で深刻すぎる悩み、ではない。少なくとも客観的には、その悩みや葛藤がそのまま恐ろしい事態に繋がるようなことはないように思える。映画の紹介文にある「モヤモヤ」という表現がその「悩みの水準」を的確に言い表している。好転するにせよしないにせよ、やがて収束に向かっていくようなそれらを抱えながら、まさにその収束に向けて登場人物たちは日常の中を流れていく。時間が進むからこそ変化があるというような、そういう作品。
だからきっと、テーマとか伝えたいこととかが強くあるわけではないのだろう。脚本の起伏は少ない。群像劇でありながら一人一人の物語はほとんど関係し合っていないように見える。人は皆それぞれだとでも言いたいのだろうか。ただ、そういうものとは別に残るものが確かにあった。清涼な味のついた風とでも言えばよいのか。流れていくにしたがって少しずつ味を変えていく風。あたたかいのか涼しいのかもわからないが、吸い込めば肺を満たし、味わえる独特な空気が確かにあった。それは茶の味に似ていた。