case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2012,9,7 PM12 【映画録『復活の日』】

三船敏郎関連の情報を眺めてるうちに邦画の現状なんかと比べてしまうと涙が出そうになる。Wikipediaの熱い記事もいくらか美化されちゃいるのかもしれんがあまり憶測や経験や傾向だけで否定的に決めつけてもな。よしんば架空なら架空で一つの理想形になるわけだし。
まあ現代の邦画や役者も平均で見なければいいものはいくらでもあるんだが。当時の邦画だって平均で見ればどうだったやらわからんし。適当なくくりでまとめて見るのは人間ができてない証拠だね。
などと徒然考えながら用心棒を再視聴する算段を立てていたりする。未タッチだった椿三十郎もいっしょに是非。

復活の日

日本映画(角川)、1980
監督/深作欣二、脚本/高田宏治&深作欣二&グレゴリー・ナップ

パンデミック系映画の国内金字塔。になるのかしら?感染列島の前身らしいし。原作は国内におけるバイオハザード系SFの鏑矢になったとはどこかに書いてあったな。国内だけでなく世界でもこれより古い映画でパンデミックを扱った映画って知らない。
感染列島がお涙ちょうだいすぎてウザかった人はこっちの方が面白いかもね。また2012とかで結構皆がんばって生き残っちゃったからがっかりしたなんて言うサディスティックたんとかも。こちらは結構悲惨で容赦ない。愛に力なんてありません。お酒は二十歳を過ぎてからかもしれませんが青酸カリ的なタブレットならショタでも口にできます。有効なワクチンの精製は理論上不可能な代物です。というか、パンデミックに関しては全滅エンドであることが冒頭で明かされます。
大きくは前半と後半に分けられるのだろうか。盗まれた細菌兵器が盗人といっしょに飛行機事故に遭って飛び散っちゃってあばばばばーなパンデミックパートと、その後ウィルスの守備範囲外ってことで生き残った各国の南極隊+ウィルス流出前からずっと海中にいた英国の潜水艦の人々が死に物狂いできゃっきゃうふふしてたら地震ごときに反応しちゃうポンコツ核ミサイルを止めにワシントンまで行かなくちゃいけなくなる決死隊パート。前半は日本ばかり映すせいか海外版では削られちゃってるらしいのだけれど、確かに冒頭の宣言通りの全滅エンドへ向かってひたすら悲惨なパンデミックを日本中心で描写していくだけなので、展開的に熱いのはあらすじを読んでも後半だと分かる。まあ私は秀逸なパンデミックが見たくてこの映画を借りてきたクチなので、先述のとおり前半も前半として熱かったのだが。
脚本は終盤まで秀逸であり、役者も伊達ではない面子が実力をいかんなく発揮している。妥協のないパンデミックSFを楽しみたいのなら自信を持って推せる作品、なのだが、映画としては演出面とテーマ性に関して非常に不満が残る。演出面に関しては、まあ当時の映像技術だしこんなものなのかもしれないと一瞬妥協しかけたのだが、やはり当時から方々に演出が非常に残念という声が上がっていたようだ。原作者本人まで過去に同じようなことを言っている(この映画自体は自作の映画化作品の中で一番のお気に入りらしいが)。私見では、とかくずれているというか、奇をてらうというほどではないがちょっとしたウィットを利かせようとして外しているという場合と、各カットはいいのだが繋げて見ると何か不恰好になっているという場合が演出面において多かったように思う。
テーマ性に関しては、先にお涙ちょうだいがうざければこれを見ればいいとは言ったが、ある意味最後まで理不尽に容赦のない展開であることと、終盤で意味深に連呼される標語的なフレーズがそれまで見せてきたものとどうにもカッチリはまらないことによって、何が言いたかったのか、もしくはテーマ的なものの落としどころとでもいうべきものが非常にあいまいになってしまっている、その点が大きな不満である。特にその意味深フレーズに関しては、カッチリはまらないどころか、否定的に見れば映画との関係性において完全にイミフである。付け足せば、決死隊パート終了後のエピローグとでもいうべき最後の部分において突然啓示的な話になっていき、前半のパンデミックSFの余韻を完全に撲滅するかのようにジャンルに関しては投げやりとも取れる締め方になってしまっているのも、否定的に見ざるを得ない大きな要因だろう。
いや、まあ、SFの余韻の方はワクチン完成しちゃった時点で若干微妙になっちゃったんですけど。MM-88はあらゆるウィルスを強化・狂暴化させる触媒的ウィルスだと理解していたのだけれど、抗体が効けば触媒されているウィルスも無力化あるいは弱体化するってことなのかな。本作に限らずこのジャンルではしばしばあることだが、とりあえず抗体って言葉出しとけば万能っぽいご都合がまかり通っているように感じずにはいられない。

他二本。
ドッグヴィル千と千尋の神隠し
感想は次回。日が変わってしまったので。