case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2012,10,23 PM10 【映画録『ある子供』】

殺気立ってる。虫の居所が悪い。
ハラワタなぞ常に煮えくり返っているようなものだが、昨今いろいろあって特にひどいな。
まあイライラを抑えられない自分というものが一番イラつくのだが。

『ある子供』

原題:L'Enfant
ベルギー・フランス映画、2005
監督・脚本/ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ

ある子供 [DVD]

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心身ともに不調であることを踏まえても自分の観る力のレベルが低いと痛感させられたのがまず一つと、「ああ、彼は俺だ」と結局思わされたのがもう一つ。二つほどしてやられてもう何も残っていない。消し炭もいいところ。これがパルムドールか。軽く死ねる。
とりあえずもう内容に関しては伏せておきたいが、はたして俺は最後のあの時と同じときに泣けるのだろうかと思う。いや、泣けはするだろう、「怖かった」と。彼らと同じだ。そしてまた彼らと同じく、問題はその先があるのかどうか。社会の本当の厳しさも知らない、命の重さも実は知らない、性善説に縋るくせに性悪説で目が濁ってる、このクソみたいなガキにはまるでそんなものある気がしない。単純に諦観しているわけではないのだ。そもそも何に諦観すればいいのか具体的なものが見えてこない。救いとはどういう正体であるのかがまだまるで見えない。ただし、もしあるのだとしたら、まだ失ってはいないという漠然とした自信だけはある。この映画の中の彼らも同じだ。本編の中に救いはない。ただ、その先にあるかもしれないし、少なくともあるのだとしたら失われてはいない。どんな救いかさえもわからないが、希望的観測はできなくもない。子どもから大人になるとはたぶんその観測が現実になることをいうのだろう。何のアンチテーゼも思い浮かばないこのテーマとこの作品は、有無を言わさず私をただ殴りつけていった。