case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2012,11,18 PM8 【映画録『ぼくのエリ 200歳の少女』】

そして夕方まで寝ちゃったっていう。ホントもったいない。

関係ないけど娘の髪ケアした後部屋が花の香りでやばい。


『ぼくのエリ 200歳の少女』
原題:Låt den rätte komma in 英: Let the Right One In
スウェーデン映画、2008
監督/トーマス・アルフレッドソン、脚本/ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト

ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]

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ネットのレビューに悪い意味で裏切られたって言い切れるのは実はこれが初めてじゃないかな。まあ、確実に2時間持っていかれる趣味に勝算を混ぜないのもどうかと言って積極的に作品選びの参考にし始めたの自体、ここ最近のことなんだけども。
現代舞台のヴァンパイア恋愛モノのB級映画。いやさB級として観れば共感できる部分も多いのかもしれないが、B級として観なければ脚本と映像の二点において稚拙この上ない。レビューで規制に関する映倫批判が殺到していたが正直カストラートの件はどうでもええねん!どう考えても規制されそうなギリギリのところへ幼稚で低俗な見栄だけの動機でわざわざ挑んだのをむやみやたらに持ちあげて騒ぎ立てているだけにしか見えない。「俺たちにできないことを平然とやってのけるッ、そこにしびれる!憧れるゥ!」という軽薄さが丸聞こえだ。200年も生きてて190年前の人間のしたことの残酷さを引きずってるかどうかなんて怪しいもの。それならそうとわかるように見せるべきだし。よしやエリのヴァンパイア化した原因と繋がるものがあるなら感慨も湧くだろうけど、そもそもそう受け取れるものもなかったし。
とりあえずレビューによるレビュー批判はこのくらいにしておくとして、脚本はぶっちゃけ中二乙女の妄想すぎてイタい部分と、そこの詰めの甘さはどうなってんだと言いたくなるような部分が多すぎて、総合して言えばただしくB級。いじめっこだって生きてるんだよ、ていうか恋人や友人殺された彼が燃やした復讐の炎はいったい何だったのか、親父もおふくろも使えねえけど彼らなりに苦労してるんだよ、等々、主役二人が幸せだったらいいんかい、不幸自慢も大概にせえよという、とかく脇役の処理の甘さというかぞんざいな扱いというかそもそも理由づけのガジェット以下にしか思ってないような点が、純愛モノのくせに多すぎる。むしろ子供の恋愛がテーマであるだけにこういった大人の倫理のしがらみと脚本家は真摯に向き合っていかなくては……などとB級相手にくどくど並べ立てるものではないか。しかしとりあえずエリの協力者だったじいさんの手際の悪さは失笑を越えて絶句モノ。夜の林とはいえ誘拐せずその場で血抜き!? 穴の開いたビニール袋が雨合羽!? 実は最近協力者になったばかりなのかもしれんけどそれでも不慣れってレベルじゃねえぞ!? こんなんでよく200年生きながらえてこれたな!? もうあそこで観るのやめにしとけばよかった。
どうしても言いたいことならあと一つだけある。ヴァンパイア好きにはたまらないという触れ込みだが(まあ正確にはヴァンパイアが正義であればあとはどうでもいい人向けだったわけだが)、逆にヴァンパイアあんまり知らない人には帰れと言わんばかりにマニアックな設定が言葉による前振りも補完もなしに唐突に出るだけでるという、あの設定も使ってるぜドヤァが非常に多い。何がアレかって“これ見よがし!”なのだ。どっかのレビューでは「新種のヴァンパイアだ!」って騒いでる恥ずかしい人もいたが、そういう人を指して「何言ってんの?常識でしょ?」と突き放して悦に入りたいのかとさえ聞きたくなる。“血を吸う/血以外口にできない”、“怪力”、“咬まれた人間も吸血鬼になる”ぐらいはよく知られているかもしれないが、“初めて訪れる家へは招かれないと入れない”って誰がわかるんだよ!(私のソースは漫画だが『Vassalord』。作者がヴァンパイアファンらしいためマニアなネタが多く、しかも知らない人がいることを前提とした説明を逐一してくれる)いや、“咬まれた人間が吸血鬼化する”も人狼からの派生で最近よく見かけるようになったものだ、知らない人は知らないかもしれない。
本当にこの映画、なんでこんなに評価高いんだろ。邦題がクサすぎてどうしようもないので埋もれゆく名作なのかーみたいな能天気な期待も抱いてこのザマである。シルブロのショタがそんなに好きか!(たぶん違う)ブルネット男の娘とのカップリングで垂涎か!(錯乱中)でも正直エリは綺麗に撮れてなかったなー(マジレス)。ハリウッドのリメイク版(2010年。はえー)もあるが、つまり原作はそんなに売れてるということでいいのかしらん。まあ文字の上でならそれなりに成り立ちそうなファンタジーではある。

Vassalord. 6 (マッグガーデンコミックス アヴァルスシリーズ)

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