case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2012,12,30 PM5

トンネルを抜けた先に現れた、急カーブ沿いの川岸に切り立つ崖。見あげておかなければ、落ち葉と併走するアスファルトにあいつのはしゃぐ姿が上書きされる。

あれを焼いた場所は山奥もいいところだった。鏡川が近い。いつか一緒に行ったキャンプ場は仁淀川だったか。悪くない場所だ。何より、友だちが多い。

線香よりはジャーキーの方がよかったか。しかし干し肉が線香立てに突き刺さっている様子はシュールだ。人間のルールじゃ意味わからんよな、と吹き出しそうになりながら手を合わせ、食事前の流れをひととおり頭の中でこなした。それで最後。

お骨には、ついに一度も手を触れなかった。

あの場所にあいつを置いてくる。臭いも残さずに去ることにしたんだ。死んだものと生きるものは分かたれなければいけない。最後の躾。

逝け。逝け。もはや鎖もない、リードもない、首輪もない。空に雲さえない。追ってくることは許さない。尻を私に向けて空へ駆けていく様子を想像して祈りに代える。

死か。なんだな。いまだ捉えることはできない。白い袋の中の骨を見て、それがあいつだとわかりながら認めようとしなかった、あのあさましい抵抗感がそうだったのだろうか。

家に残る鎖と小屋を見ると、なんだ、散歩か、という気持ちが先に湧く。あいつは長い散歩に出かけたのだと思う。外出中に時間を気にするのは、暗くなる前に散歩へ連れていくべきだからだ。が、その必要がないことを思い出すと、じゃあ時間はあるんだな、さてどうしようか。思考は切り替わるのだけれど、なにか腑に落ちない。誰が散歩に連れていくというのか。

家を出るとき、帰宅するとき、庭の見える掃き出し窓の前に行くのが私の癖だ。