case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2013,5,3 PM11 【映画録『一命』】

『一命』
松竹映画、2011年
監督/三池崇史、脚本/山岸きくみ


ただしまだこういう人がいるおかげで私は完全な邦画不信ではない。
下品と批判する人はいるかもしれないが、お高くとまるばかりが表現の質ではないだろう。何より直接的だが安っぽくはない。ただときどき臭いかもしれないが、それはこの監督の色ということにしておいてほしい。
武士の切腹文化にいっかどのロマンを覚えている身としては大変刺激的な映画だった。決してそのロマンに対してアンチテーゼだったからではない。本作のリメイク元である小林御大の『切腹』はそうかもしれないが、ここにあるのは人の愚かさと運命のはかなさ、そしてそのように小さなところに押し込められている怒涛のような熱き血潮だ。あいかわらずこの監督の作品はそういうわけのわからない熱量に満ちている。私はちょっとさかしいだけの本質は子どもなので、感じ入ってすぐに押し流される。何もそこに文法がないわけではない。あればこそ人の世は儚いと言えるのだ。これ以上あまり言葉にすると映画が死にかねない。備忘録でもあるのでこれくらいにしておく。