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case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2013,5,13 PM12 【映画録『ゲーム』】

『ゲーム』
原題:The Game
アメリカ映画、1997年
監督/デヴィッド・フィンチャー、脚本/ジョン・ブランカトー&マイケル・フェリス

図らずも(本当に図らずも)二連続でフィンチャー。しかも『セブン』の翌々年に公開された作品で、私の「手元に置いておきたい映画リスト」でかなり上位にいる作品だったりする。近所のレンタル屋に再び置かれるようになったのを機に再度レンタルしたのだがそれが『セブン』を返した日というからなかなか運命的なものを感じずにはいられない。
再観ということで後輩宅にあがり込み勝手に上映会をしてやったがかなり狙いどおりの反応がもらえて満足している。この作品をひところで表すなら、「期待を裏切られたことを素直に喜べないが悔し涙を呑んで白旗を振らざるを得ない映画」だ。どんなに鬱々として胸糞の悪い作品よりも趣味が悪いと断言しよう。そしてそれを何も言わずに人に勧める人間もだいぶ趣味が悪い。ただ一つ言っておけば、私も被害者だ(狂喜)。
ネタバレはとにかく控えたいが、これもどんでん返し映画として有名。ただし、あえて暴露すれば「どんでん返されない映画」であり、私が知る限り「最も勇気ある脚本」の一つだ。ちなみに上で言った趣味の悪さを感じるのはおそらくある程度以上映画が好きな人間には限られてしまう。が、それはつまるところ、映画好きにとってはタブーと言ってしまってもいいような脚本であるにもかかわらず、映画をそれほど観ないような人間に心から「ブラボー!」と言わせるであろうことを確信してしまうからこそ白旗を振らざるを得ないということ。負けを認めざるをえないとはそういうことなのだ。
脚本家が違うとはいえ前々年にあの『セブン』を撮ったと監督と同一人物とはとても思えない、と言いたいところだが、『セブン』のよさであるサスペンス的演出の秀逸さは本作でも如実に活かされている。『セブン』の感想から手のひらを返すようで悪いが、フィンチャーの暗さの演出と人間表現のわりに繊細なサスペンスは観ていてとても心地いい。そしてただただ暗さを追うのではなく、落ち着いた中で暗さを制御し始めた先の『ベンジャミン・バトン』には軽く呆然としたものだ。