2013,10,15 AM1 【映画録8-B『ブローン・アパート』『ロゼッタ』】
【映画録8-A】のつづきです。
いつもどおり、ネタバレは「もしもあったらごめんなさい」でお送り致します。
9月28日『ブローン・アパート』
- うーん、この終わり方は……(;・・)
- よく似たエンディング(エピローグ?)も知ってるんですけど、そっちは寂寥とかと合わせて超然とした怖さみたいなのもあるでせいで切ない感じになってて、それに反してこう光り輝くように強調されると鼻につくようです。
- まあしかし目くじら立てることもないんじゃないかと後で思い直したりもしたり。葛藤はこの後のお話だろうし。
- ジャンルにおいて一見変化球に見えますが、実は変化してないよね、という脚本です。予告編が植えつけてくるサスペンスなイメージとは完全に別物。ホントは配給いいかげんにしろ。
- 絶望のプロセスは、自分にとっては直近の『アンチクライスト』が非常に優秀な教科書代わりですが、本作も充分にそれを踏襲しています、その上で綺麗にまとまった脚本です。アジア少年との関わりだけ爪が甘いような気もしますが、それはこちらの勝手な欲でしょうか。ジャスパーもあの結末でお片付けか。うーん……。
- こう、そこはかとなく優等生でお上品な感じが絶妙に嬉しくない、です。このテーマならもっときちゃない根性が見たかった感。
- お上品で優等生なのは装いで、実のところ煮詰まっていただけかもしれません。それだけに、一回息子が帰ってくるまでの脚本は密度が高く綺麗に入り組んでいます。それでラストの適当さがまた際立つという…。
10月2日『ロゼッタ』
- まだたった二本目だけど、やはりダルデンヌ兄弟の撮るものは往々にして「痛い」のでしょうか。
- 貧しいロゼッタ。強情なロゼッタ。潔癖なロゼッタ。高潔に生きたい、けれど卑劣なロゼッタ。施しは受けないロゼッタ。虚しいロゼッタ。脆いロゼッタ。ロゼッタは高潔ではない。夢見がちなロゼッタ。憐れなロゼッタ。あなたはロゼッタ。私もロゼッタ。まっとうに生きるなんて無理さ。
- ていうか終始めちゃ近いんですよ、カメラが、ロゼッタに。ロゼッタもわりとせかせか激しく動き回るので、頭ぶつからんのが不思議なくらいなんです。ズームを多用してる様子もありません。ハンディカムでピッタリ、まるで主人公ロゼッタから欠片も撮りこぼすものがないよう、怒涛の勢いで詰め寄っているかのように。
- このカメラの動作からもっと多くのものを感じるためにはまさにカメラ同様ロゼッタの心情に寄り添えればいいんでしょう。残念ながら自分には後から理屈で考えて含意を想像する分がかろうじてできるぐらいでした。何でも一歩引いて観てしまう性分なんですよね。それで物事を楽しむ方法も心得ているつもりなので不便はないのですが、相性の問題ばかりは仕方ないですね。
- 意外に面白い点が、普遍性を取り扱うお芸術映画らしくわりと冗長な印象を受けかねない撮り方なのに、次に何が起こるかわからなくてぐいぐい引き込まれる脚本になっているところです。ロゼッタの強烈なキャラによる分も大きいは大きいんですが、それ以外の要素でも展開は思いのほかめまぐるしいです。考えながら観てれば飽きることはないんじゃないでしょうか。
- ところで、ワッフル屋の棚に置いてある売り物と思しき袋菓子が、どう見てもうまい棒だったんですけど、あれは……。