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case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2013,11,2 PM6 【映画録10-B『アイアンマン3』『デッドクリフ』】

お品書き

【映画録10-B】

  • アイアンマン3
  • デッドクリフ

【映画録10-A】

【映画録10-A】のつづきです。

case.728の映画録はいつもどおり、ネタバレは「もしもあったらごめんなさい」でお送り致します。

10月27日『アイアンマン3』


  • 1・2と観続けてファンながらアベンジャーズを飛ばしての3。アベの後遺症設定があったりはするけど大筋的には1・2さえ観てれば愉しめる内容でした。でもアベのあらすじくらいは知ってて損はないかな。いきなり「あの宇宙人との戦いで〜」とか言われてもファッ!?てなるだろうし。
  • ただしおそらく全体としては、アベを2.5のように扱わなくて済むという意味で、先に3を観とくのが正解かもしれないとは思います。なにしろアベと比べてしまうとストーリーが大幅なスケールダウンですし。
  • まあしかしアイアンマン映画シリーズは、常にアイアンマンの活躍や強大な悪との攻防よりも、親愛なるトニー・スターク社長(元社長)の人間としての成長に一貫した見所があると自分は思っています。こっから本題。
  • 悪が現れピンチに追い込まれ立ち直り悪を打ち倒すという大筋やあらすじだけを見るとやはり王道展開、というのは1も2もそしてこの3も同様なのですが、実物を観てみると、1より2の方が顕著ですが、その大筋や悪との攻防の構図に大きく心血を注いでいるようには感じられないのです。悪を倒してもあんまり達成感を感じられませんし、そもそも悪側の存在感や印象が弱かったり悪らしくなかったり。
  • それでも面白く思えるということは、別の何かに重きが置かれているということですが、ここでやはり「トニー・スターク」というキャラクターだと思われるわけです。実際に観てそう感じます。
  • 悪役が悪役として不足なのと同様に、トニー・スタークも「正義のヒーロー」としてはかなり不足です。西側男性特有の父性主義とはまた違った方向でお子様ですし、軽妙洒脱なフリをして性根はかなりねじ曲がっています。正義に関しても懐疑的で、いじけんぼ。セレブでなかったらヒモになっていただろうという才能だけはひしひしと感じます。
  • このいじけんぼが、アイアンマンという武具を杖にして立ちあがり、杖を上手に振り回すことを覚え、さらにその目的と向き合えるようになり、最後には丸腰で何かに挑めるようになるまでを描いたものが、自分にとってのアイアンマンシリーズの本当の中核です。そして3はまさにこの最終段階を描いたもの。実際そういうものだという印象もちゃんと受けられましたし。
  • 本当に製作者の意図がそこまで絡んでいるかは分かったものではありませんが、続編ほどグレードアップした熱い展開を求められるというセールスよりもこの中核を重んじるかのように、今回の敵方には生身の人間が配置されています。いえ、強化人間なんですけどね。1・2と一貫して機械や兵器といったメカメカしいものを相手にしてきて、“正義の兵器VS悪の兵器”的な構図をわかりやすく示してきたところへ、最後の最後に機械に頼らない生身の人間が牙を剥いてくる。トニーがスーツへの執着をやめ、丸腰で立てる人間になるまでを描くのに、これほどお誂え向きのラスボスもないでしょう。
  • ただし、敵方は生身は生身でもバイオテクノロジーの粋による不死身の強化人間軍団。バイオ技術だって軍事転用も盛んですし立派な兵器になりうるものです。これにより、映像の裏側に見える構図としてはちゃんと“正義の兵器VS悪の兵器”とか“科学は使う人間によって素晴らしい技術にも兵器にもなり得る”といった、これもシリーズの一貫したテーマとして、ちゃんと機能するようになっています。体裁的には“VS生身”で、裏側は“VS科学”。このあたりは1・2の比較としても抜け目ないです。
  • そして、これに立ち向かうトニーも、本作は非常に生身の描写が多く、全身スーツが活躍する場面は実は非常に少ないです。本作用の新作スーツはバラバラの状態から遠隔操作でパーツがそれぞれ飛んできて体の該当箇所にくっ付いていくことで装着される、というギミックが導入されているのですが、まだ試作段階のこのギミックが裏目に出てなかなかパーツが揃わないという自体に度々陥ります(予告編で腕だけスーツをつけていたりするのはそういうわけです)。部分的に装着した状態でも装着してあるパーツは機能するので戦えはするのですが(というかその状態で戦わざるを得ないことの方が多いのですけど)、見た目の上ではどうしても全身装着状態と比較してしまって、ほとんど生身だと言わざるを得ません。もうホントに、ようやく全パーツ揃ったときの安心感と、またパーツが揃わなくなったときの心許なさとで振れ幅がすごいですからね。
  • しかし、このギミック+脱いだスーツを遠隔操作できる新機能(つまり操作中自分は生身)によって、トニー自身でも“生身VS”の構図を実現できているのです。さらに、遠隔操作のギミックによって、アイアンマン自体はトニーの操るツール、すなわち兵器としての側面をより色濃くします。これは常に縋りついてきた「アイアンマンは兵器ではなく何かを守るためにあるものだ」というシリーズの主張をひっくり返すものでもあります。悪との決戦の最後の最後には、トニーはアイアンマンにならず、まさに「スーツを道具として使って倒す」という徹底ぶり。これにより、「アイアンマンを兵器に“還し”、トニーは自分の足で丸腰で立つようになる」という、先に書いた成長の最終段階に至るわけです。
  • 徹底しているといえば、序盤でペッパーさんににスーツいじりは現実逃避だとまで言わせてますね。間違って命令を与えた遠隔操作スーツが彼女を襲ってしまうシーンとかもありますし、2で大佐にあげたMark2改めウォーマシンが塗り替えられた「アイアン・パトリオット」をトニー自身が指して、その名まえのことを蔑んだりもしています。思い返すと端々に、とことんスーツを“ただの兵器”に下げていこうという趣旨が窺えますね。
  • ここまで書いたことから一つ注意書きをすれば、少なくとも本作を“アイアンマンのヒーローらしい活躍”を見たくて観た人は、本作にかなりご不満を抱かれるかもしれません(ダークナんとかライジングほどじゃないとは思いますが)。あと、トニーのふっ切れ方にちょっと大味の嫌いがあるので、最後の花火のシーンがあまりしっくりこない、あれほど大事にしていたスーツになんてことを、みたいに思ってしまうことはあるかと思います。万人を納得させるには描写足らずだとは自分も思います。
  • とはいえ、ちょっと変わり種の主人公の人間的な成長を描くという変わり種なテーマを一貫してやり遂げたという点は評価できますし、そもそも大味が当たり前のアメリカ映画が、大味が当たり前のようなアメコミ実写化作品で、その路線をやり切った、というだけで自分としては大満足だったりもします。
  • まあさすがにちょっとトニー愛に溢れすぎて補正かかってる気はしますけどね。恋は盲目。ホットトイズのスターク社長思わず買いそうになりましたもの(笑)。うちのハーレムに並べたところを想像するとあまりに面白すぎたので自重しました。
  • ちなみに、画像&解説つきのスーツ一覧を探してきました。一行下のリンクから。

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n153958

  • パーティではボーンズが自分にはツボでした。イゴールもかわいかったので好きです。

10月30日『デッドクリフ』


(ネタバレ多めです)

  • 混ざれよ危険(命令)。
  • 自然が牙を剥いてくる系のホラーって敬遠しがちなんですよね自分って。だって夢がないじゃないですか?夢、あるいはロマン。悪夢だって夢なんです。どうせ大自然が殺しにかかってくるなら地球が突然氷河期になるとか日本以外全部沈没とかそのぐらいのスケールがないと。
  • なんてどっかの大国にいそうな映画監督みたいなことを100%本気で思っているわけではありませんが(30%くらいかな)、ドキュメンタリーも似たような理由であんまり観ようとしない自分は、現実的なスケールの自然災害や未開地での遭難事故の恐怖を映画で積極的に観たいとは確かに思っていません。『オープン・ウォーター』とか『フローズン』とか、観る時間がもったいないとまで感じないでもなく。
  • しかし本作『デッドクリフ』は山が牙を剥いてくる。未開の山。道なき山。大自然です。山が超怖い。しかし、“何かがおかしい”。一連の出来事が偶然ではなく、作為に基づいたものであると見え始める。何かがいる。裏で糸を引く何か。見えない何者か。果たして本当にいるのか。憶測が錯綜する心理サスペンススリラー!結局一番怖いのは人間だった!
  • という期待を予告編は抱かせてくれたのです。そう、これがロマン。大自然にヒトが抗い得ないのは当たり前。しかしそんな強大な力をも利用し、ヒトを陥れる怪物が存在するとしたら……うーん、自分で言っててもワクワクします。
  • この期待に応えるように、“山登りで事故が連続して起こる”だけの序盤は本当に秀逸なんですね。偶然、運が悪かったようなだけに見えるけれど、どこか違和感があるように思えてしまう。まあそれは“それだけではないこと”をこちらが期待しているからそう思いたがってるだけなのですが、実際不穏な空気を醸し出したり客に不安を抱かせたりと、演出による煽りがなかなか巧妙です。
  • そして中盤に差し掛かり、また事故で突発的に盛り上がっていたところへ明らかに人為的としか思えない“事故”に遭遇します。「きた!」もうそこ最高潮でしたね。ええ、最高潮でした。そっからです。右肩下がりのチキンレースが幕を開けたのは。


  • これそういう映画じゃねえから!!(’Д’)
  • ちなみにアメリカ版の予告編(映画の製作はフランスです)をご覧いただくと、ネタバレになるのですが、しっかり映ってるんですよ、ぼくらの期待してた“怪物”が。なんか普通にボウガンでピュンッ。あれっ、なんか……そうじゃなくね?(困惑)
  • 一番の問題点はこの映画、後半で“怪物”が普通に顔出ししてから、山が一切牙を剥かなくなるのです。口はあけっぱだったりはしていたと言えますが、咬みついたりはしてきません。出張ってきた“怪物”が一人で暴れまくります。殴ったり蹴ったり走り回ったりボウガンでピュンッしたり。……そうじゃなくね?(冷静)
  • しかもですね、ここで“怪物”がぼくらの期待してたようなものじゃなかったと分かってしまうがゆえにですよ、序盤の事故を思い返した時に、“あれは本当に偶然の事故だった”ということも分かってしまうんです。大自然の強大な力の裏で糸を引く何か?見え何者か。錯綜が憶測する真理でスリムなサスペンダー?大自然はそんなにアマかねえんだよ!(゜Д゜)ペッ
  • 取り乱して何言ってるかよくわからないですけど、とにかく後半の失速具合が意気消沈ものです。序盤がわりと本気でハラハラさせてきただけに。
  • 唯一一貫して楽しかったのはヒロインの彼氏(一応主人公?)のクソ野郎ぶりです。ただのクソ野郎ではなく、劇中で二段階進化するクソ野郎だったのです。事故の流れで緊張感がものすごかったのも、痴情のもつれで意地を張ってついてきたクセに山登りの初心者丸出しで叫んで暴れてみんなの足を引っ張りまくっていた彼のおかげと言っても過言ではありませんし、しかもそれがまだ序盤。一段階進化前。さらに身勝手な言動で仲間内の空気を惜しげもなく気まずくしていく第二段階。そして仲間を見捨てる第三段階です。ヘタレ、バカ、クズの順番でスキルを増やしていきます。ホラーの申し子とも言うべきダメ男っぷりですが、それが段階的にパワーアップしていくとなるとなかなか貴重で秀逸です。すんごいイライラしますけど、それはこういう映画の醍醐味ということで。身勝手な輩は彼だけではなかったしね。


  • 醍醐味といえばおっぱいですわね。ヒロインもその女友達もあんたら山を舐めてんのかってレベルの軽装(フリークライミングは半そでTシャツとか軽装でやる場合が多いけど)でしかも胸元ドバーンと開いてる。シャツのボタン外して生足ホットパンツな女友達もなかなかアレだけど、ヒロインのぴっちりした白Tには参りました。下り坂でめっちゃ揺れるし、岩登りのときは上からのアングルで谷間谷間谷間で彼らは山登ってるはずなのにぼくらは谷を見てるわけですよいや何言ってんだ自分。襟の空き具合も半端ないので下着をつけているのかいないのか気になって気になってってところへ真上からのきわどいアングルでチラッとああちくしょうさすがにやっぱり下着けてたかってオイオイつけてなかったらやっぱり今ごろ見えてるよ山頂が見えてるよそりゃ山登りだもんね目指せ山頂ヤッホーホーホー(山彦)
  • 何を言ってるんだぼくは(´・x・`)
  • いえ、いやらしい意味ではなくてもなかなか形も大きさも素晴らしいおっぱいだったのでつい。しかしどうしてあんな女性にあんな男がくっついたのか。元彼も元彼であんなだし。すさまじく男運が悪いんでしょうか。あ、なんか親近感(アカン)
  • しかし前半後半のスケール差を気にせず、この彼氏のクソ野郎ぶりとヒロインのおっぱいだけでご飯を食べようと思えばできないこともないのかもしれません。グロ描写もいい意味でわりと趣味が悪いです。細かいことや展開や設定に無理があるとかも気にしたら負け。
  • とはいえ、似た系統のホラーを人に勧めるなら素直に『ディセント』を推しましょう。あちらはちゃんと“混ぜるな危険(手遅れ)”でしたから。


というわけで、映画録10でした。

映画の感想記事の書き方を「映画録」に変えてからついに二桁になるのですね。
時期も手伝ってより節目って感じです(・x・´)


そういえば、旧ブログからこのはてなダイアリー『case.728』に移転して最初に書いた映画記事が『アイアンマン2』でした。

2011,9,21 PM3 【映画録『アイアンマン2』】 - case.728

おおよそちょうど2年前の記事です。
トニーが情けないダメ男という、過去の自分との共通認識がうかがえます。

1ではそれほど意識もしていませんでしたから、2年越しのトニー・スタークファンということになります。

ブログ移転だけでなくいろんなことについて心機一転した時期にファンになって、
今のちょうど卒業やら引っ越しやらで環境の大きく変わろうとしているこの時期に、
直接の続編かつシリーズ完結編である作品に触れたことには、
何か深いえにしのようなものを感じざるを得ません。


情けないダメ男との深いえにし……。


でもぼくにヒモの才能はないな(安堵)



余談ですが今日は90分の作業用BGMをこの記事の書き始めと同時に聞き始めて書き終わりと同時に聞き終わったというプチ奇跡が!すごいどうでもいいですけどきちんと展開のある編曲で最後もちゃんとエンディングみたいな仕様になっているBGMなので気持ちがいいです!

といういつものノリのまま、節目だろうが何だろうが当ブログはのんべんだらりと続きます。