読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

劇場映画録『ゴジラ(米2014)』

The best movie of this summer's, "Godzilla"!!

 

最近ご無沙汰だった劇場映画。

で、本日28日、観てきました。

2014年のハリウッド版ゴジラ

かくしてその実態は……

 

 

 

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001056j:plain

 

 

ゴジラ”でした。

 

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001052j:plain

 

 

これは、間違いなく“ゴジラ”だ!!

 

 

※一枚目はTOHOシネマズマガジンから。他キャプションはすべてYouTube予告編等から。

 

やればできるじゃないですか張宇都さん!(ひどい上から目線)

ありがとう、エドワーズ監督。ありがとう、ありがとう!

 

いやはやぶっちゃけ、というか多くの人がそうだったかもしれませんが、本当におそるおそる劇場に向かったんですよ。ティーザーやコンセプトアートを見たときは一応期待できそうだと思いましたけど(でなければもっと様子見したでしょうけど)、また魚食ってたり卵産んでたりしたらどうしよう、とか、アメリカ映画だからアメリカの重火器やっぱり効いちゃうんじゃないか、とか、肝心の脚本は、とか。まあ不安は挙げたらキリがなかったんですが、まさか思いつく限りの懸念がひとつ残らず杞憂に終わるだなんて、想像だにしませんでしたよ。なにがやればできるじゃないかだ。米版リブートなんてと結局どこかで馬鹿にしてた自分が恥ずかしいったら。

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001059j:plain

 

そしてちゃんと“ゴジラ”を描いたそのうえで、単なる焼き回しではなく《アメリカ映画らしさ》をハリウッド版の個性として演出していたのも、純粋に映画として好印象。実直な踏襲であり真摯なオマージュでありながら、“ゴジラ”を完璧にハリウッドのものにしてみせています。

一応それを踏まえて但し書きをしておけば、「ゴジラは友達!」的な脚本を期待して、もしくはゴジラ映画とはそういうものだという強い先入観を持って観に行く人は、いくらか首を傾げるかもしれません。しかし僕としては、これはアメリカ流の個性だし、彼らが胸を張れるこだわりだ、というのが十二分に伝わってくる内容、作り込みだったので脱帽せざるを得なかった次第。オリジナルへの敬意を持ちながら奴隷にはなり下がらないその根性をこそ賛美したく思います。

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001100j:plain

 

その一環としてか、やはり生物学的な説得力にはこだわってきますね。

もうはっきりと「放射能食ってる」と言っておいて、「地上が放射能まみれだった原始地球の生態系の頂点」「大絶滅以降は地球の核に寄生していた」って無理のないワクワク設定。極めつけに、「核実験のし過ぎで地上の放射線濃度が上がったから帰ってきた」っていう、いわゆる《人間の行きすぎに対する自然の怒り》設定付きです*1

確かこの“自然の怒り”を体現する《神》として意識される仕様は、オリジナルからゴジラの名の由来の一つにあったはず。ていうか劇中で「まさしく神」ってまさしく言っていました。そして本作の脚本は、ゴジラをまさに《自然界の神》に見立てるという点において一貫したものに仕上がってもいたのです。

ていうかこれほど大胆かつ存在感たっぷり(どころか爆裂気味)に、ある意味容赦なく“神”を描いた作品もそうないのではないかと。

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001051j:plain

 

むしろこの《神っぽさ》と「ゴジラは友達!」的なテーマを両立しようとすると、確実に気色悪い子供だましになっていたでしょう。調和のために存在する“荒ぶる神”として描くなら、それは人間の存在自体にはまったく頓着しないはずです。

本作のゴジラは敵でも味方でもありませんし、実際の描写もちゃんと「敵か、味方か」と問い続けるようなものになっていて絶妙。もちろん最終的には人間が問われる側に回るのです。人間は自然の敵か、味方か、と。

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001103j:plain

 

そのためか、災害映画的な側面というか、そういう絵面も多いですね、本作。さすがに津波地震にトラウマがある人は要注意です。

 

本作のゴジラは史上最大ですからね。上陸時には海面が持ち上がって沿岸の街が一つ沈みます。その体長、なんと108メートル(手元のTOHOシネマズマガジンより)。文字の上でも期待しましたが映像で見るとさらにデカい。上映中に何度も「でけええっ!!!」と叫びそうになってこらえるのにはかなり苦労しました(笑)。

98年の黒歴史を通して得た「海外の高層ビル群の中ではゴジラが小さく見えてしまう」という教訓から、「じゃあもっとデカくすればいいじゃん」という単純発想だったのでしょうけど、普通に大正解でしたね。先述の通り津波などを起こせる“自然災害”にもなれたわけですし。

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001054j:plain

 *2

本作の脚本でもう一つ評価したいのは、明確な“敵”の存在ですね。ミスターアンドミセス・ムートー。

すごく単純なことのはずなのに、これがあるだけで脚本の締まりが違う違う。

ゴジラが「敵か、味方か」で「人間に頓着しない」以上、ガチで人類を脅かしに来る別のモンスターが必要になってきます。そのモンスターがゴジラにとっても敵であったとき、ゴジラは人類抜きで戦う理由と、人類の敵じゃないかもしれない可能性を両方得るわけです。もうこれだけですでにゴジラ映画として完成していると言ってもいいくらい、しかし重要で不可欠な要素。

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001057j:plain

 

またムートーのデザインや設定もいい感じなんですよね。ゴジラと共通の地質学説から放射能を食べ、積極的に人間の原子力系設備を襲う。エコロケーションで仲間を呼ぶ。しかも雄と雌。どうせなら空を飛ばしたいけど巨大にもしたい、という欲望を性的二形を利用して無理なく実現。ゴジラとは二体一で空と陸からの夫婦の連携プレーが熱い!そしてこいつらが卵を産む。

やはり“繁殖”はアメリカ映画における《蘇った古代モンスター》の定番なんですよ。ゴジラがビーム吐かなきゃ嘘であるようにアメリカンモンスターは増えなきゃ嘘なんです。エイリアンからの伝統です。98年の黒歴史はそのへんもゴジラ自身に背負わせちゃったんだろうなあ…。

そして本作はムートー夫妻の方により生物的脅威って感じの“繁殖”を担わせたことによって、ゴジラの“唯一絶対なる神”らしさをさらに強調することにもなっています。単為生殖とすら言いませんでしたからね。徹底してゴジラを“神”の要素で固めている。それで捨てざるを得なかった生物らしい要素をムートーがきれいに拾っているわけです。

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001055j:plain

 

アメリカ映画らしいと言えば、やはり軍人が主役です。

主人公は日本で働いていたアメリカ人原子力系エンジニア夫婦の息子で、15年前に突如蘇ったムートーが両親の勤務先の発電所を襲ったことで、故郷と母親を同時に失います。そして15年後にムートーが繁殖のために動き出して、その秘密に迫りかけていた親父さんの遺志を継ぎながら軍人として自分の家族を守るため怪獣たちに立ち向かっていきます。というのがあらすじ。

なので、全編通してこの主人公の関わった米軍の怪獣撃退作戦の様子がかなり尺を取る結果にはなっています。ムートーは中盤から出し惜しみなしなのですが、ゴジラはなかなか尺がもらえなくてこちらはちょっとイライラ。米軍の作戦行動も見どころがないわけではないのですが、興味ない人や体力のない人はダレるかも。もちろん終盤ではゴジラが大盤振る舞いなので、あくびを噛み殺しながらでも待っていて損はありません。まあ最初からそういうものだと分かっていれば、焦らされすぎて疲れることもないかな?

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001053j:plain

 

ちなみに先に杞憂だったと言ったとおり、ゴジラに米軍の重火器は効きません。ビクともしませんし気付いてもいません。重火器が売れなくなるから効かなきゃいけないっていうのは都市伝説――と言いたいところですが、本作のゴジラは“神”なんですから、いくらアメリカだって(むしろアメリカだからこそ?)神を倒せるようなのは求めてないよHAHAHAという話と解釈しておいていいのかもしれません。いや実際は「核が効かなかったものにSAMが効くかよHAHAHA」だと思いますけどね。

で、ムートーには効きます。あれは神じゃなくてただのモンスターなので。そういう差別化はあるのでしょう。ただし太刀打ちできるくらい効くかどうかは別問題。HP100万に対して1ダメージでも効いてるっちゃ効いてると。

じゃあ100万発撃ち込めば、と思う前にEMPで強制撃ち方やめがかかります。このEMPエフェクトがかっこよすぎて鼻血が出るレベルなのですよ。「うはー!文明意味ねーなー!(゚∀゚)」てな感じで*3。どうしてEMPが使えるのかはよくわかりませんでしたけど。エコロケーションの副産物?常駐エフェクトじゃあなかったよなあ…。

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001102j:plain

 

さすがにプロレス技まではなかったけれど、それ以外はやってほしいことをきっちりやってくれているゴジラの迫力バトルはもちろん見所。ってもうこのあたりからは実際に観てくれた方がいいですね。

僕が今日言いたいのは、アメリカ・ハリウッドが今度こそ自分の“ゴジラ”を完成させたということです。興業も上々のようですし、正直に言えばラストバトルは尺的な意味でもうひと声ほしかった気がしていますしですし*4トランスフォーマーばりに続編を作っていただけないだろうかと期待してしまう次第。日本のデストロイヤー編あたりを参考にしていただければ、ハリウッドなりのこだわりも保ったままシリーズダレしないものができるのではないかしら。ゴジラ体内器官暴走で大爆発の危機とか。もしくはキングギドラ並みに強すぎる怪獣が出てきて、ゴジラが一回敗北して人類滅亡の危機とか。案外メカゴジラもいけるのでは?人類が神に弓を引いた結果……。

いけない、夢が膨らみすぎている。でも本作のGodになら託してもいい。今日は真面目にそう思ったのですよ。

 

f:id:nanatsuhachi:20140729001058j:plain

*1:かといって反原発かどうかみたいな現実の議論のきっかけに少しでも本作がされないことを祈る。メッセージ性とはそういうことではないし、現実にゴジラはいない。

*2:やたら人間がこっちに背中ばかり向けてる画像ばっかりでシュールに思えてきた。

*3:と思いきや核爆弾の時限起爆装置がネジ&歯車式だったのには米軍すげーなとこれまた感服した次第。

*4:この場合の物足りないは、もっと観たいと思うくらい良かったということである。