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case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

映画録・番外(9月上)

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目次


今のところDVDの宅配レンタルはTSUTAYAかDMMが最強みたいです。どっちも似たような月8枚プランがあるんですが、月8枚以下しか借りないならDMMが今値下げ中ということもあってかなりお得。僕はTSUTAYAが旧作借り放題のオプション付きなのでTSUTAYA派という結論。


いや、ぶっちゃけたことを言えば、楽天がありえないだけなんですけど。返却期限までにDVDがセンターに到着しなかったら延滞料金が発生するというのは、他のところのサービスと比べると俄然意味が分からない。
もちろんポスト返却のくせにです。消印の確認さえしないとのこと。実際一番意味不明なのはこの点でしょう。見ればわかるところを見ないって。アメリカなら法廷で戦えるレベル。
試しに一度だけ、クーポンを利用して使ってみました。案の定、余裕をもって返すために慌てて観る羽目になり、慌てて投函して、返却完了通知が来るのをじりじりしながら待たされることに。


それが先の9月上旬のこと。以下、日にちがやたら詰め詰めなのはつまりそういうわけです。


オススメ度早見(説明はあくまで一例)
・★★★★★…… 俄然オススメ。必見。人を選ぶことはあるだろうけど一度は観ておくべき。
・★★★★☆…… 強く推すわけではないけど誰でも存分に楽しめたりする。いい完成度と満足度。
・★★★☆☆…… 完成度はそこそこ。でも充分楽しんで観られる。
・★★☆☆☆…… ちょっと惜しかったり、好みが合えば楽しめるかもしれなかったり。
・★☆☆☆☆…… 雑談にも挙がらない。人にオススメする機会はなさそう。


※ネタバレは抑えめですが、物語の核心に触れていることはありますので、要注意。


9月4日『パラノーマル・アクティビティ第2章 TOKYO NIGHT』

2010年/日本(プレシディオ)/映倫:G
(あらすじ)アメリカ旅行から帰国したばかりの春花は、目覚めると部屋の中のものが勝手に移動していることに気づく。弟・幸一のいたずらだと思い込むが、潔白を証明するため幸一がビデオカメラで撮影した映像により、衝撃的な現象を目の当たりにする。(映画.comより)

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オススメ度:★★★☆☆

  • 美人のお姉さんの寝室に黙ってキャメラしかける弟くんここに5000円あるじゃろう?
  • パラノーマルシリーズ番外だけどこれは観ておいて損はない、と自分の弟から聞いたので手を出したのですが、確かにちょっと新鮮味があって面白かったです。そもそも定点カメラ&怪奇現象ビデオの組み合わせは普通のPOV以上に退屈に思えて苦手なのですが、本作はハンドカメラも多めのコンビネーションになってますし、Jホラー的要素を上手に取り入れているおかげでメタ的な興奮もあります。
  • 悪魔の嫌がらせは相変わらずかわいいというか子供っぽいというか。実際にやられたらこっちはストレスで発狂するでしょうけどね。しかしあの「お姉ちゃんを寝たまま立たせて歩かせるシーン」はかなり怖かった、というか痛そうだった。痛そうすぎてこっちが悶絶するレベル。
  • 一回以上人をふっとばさないと気が済まないのは伝統芸かな?
  • 番外で邦画扱いだけど、ちゃんと本家と関連して続いてる作品なんですねこれ。あの霊感ある子や友達連中のその後とか描かれてないし、このまま呪怨みたいに広がっていく感じで続けてくれてもいいのにとちょっと考えてしまいました。その前にこのシリーズは本家の風呂敷をどうにかした方がいいとは思いますけど(^_^;)


パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT [DVD]

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9月4日『RED/レッド』

原題:Red
2010年/アメリカ(ディズニー)/111分/映倫:G
(あらすじ)かつてCIAの工作員だったフランク、ジョー、マービン、ビクトリアの4人は、内部機密を知りすぎているという理由でCIAの暗殺対象者になってしまう。4人は生き残りをかけてCIA本部に侵入するが……。(映画.comより)

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オススメ度:★★★★☆

  • REDリターンズ』を観る前には是非観ておいた方がいい、という意味で★4つにしましたが単発としては本来★3つか2つです。ブルース・ウィリスの大ファンなら観ておいて損はないけれど、元CIAのおじいちゃんたちが若者をブッ飛ばす的な痛快な触れ込みだけに呼ばれていくと肩透かしかもしれません。
  • なにしろおじいちゃんズが見るからに強そう。だってブルース・ウィリスモーガン・フリーマンですもの。老けたなーとは思いますけどね。でも、まだまだ若者には負けんわい、みたいなことを彼らに言われても説得力ありすぎてひたすら鼻白みます。それで売りがほぼ「おじいちゃんズ」にしかない脚本で、実質の脚本は可もなく不可もなくです。
  • まあそれでも、新米CIAの兄ちゃんをぼこぼこにした挙句デレさせるブルースもといエージェント・フランクの真骨頂「勧誘術」は、諜報員モノのアクション映画の中では切れ味のある芸で面白かったですね。年の功という部分にも説得力がまるでないわけではありません。
  • ビクトリアが地味だったのと、ジョーのアレが“フリ”じゃなかったのがまた残念。ただこれはマービンのキャラの壊れっぷりとロシアのイヴァンの男気によって御破算でいいしょう。


RED/レッド [DVD]

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9月4日『ヒルズ・ハブ・アイズ

原題:The Hills Have Eyes
2006年/アメリカ/107分/映倫:R18+
(あらすじ)トレーラーで砂漠を横断中のカーター一家。ところが、近道をしようとしたのが災いし、荒地の真ん中で立ち往生してしまう。その近くには核実験の影響で突然変異を起こした恐ろしい食人集団が潜んでおり、何も知らないカーター一家に忍び寄っていた……。(映画.comより)

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オススメ度:★★★★☆

  • この設定でサバイバルものの変化球(ディセントみたいな)やられても大味にしかならないよなーと思っていたらガラの悪いプレデターみたいな脚本だったのは嬉しい誤算。もはやその場所のみでそうやって生きていくしかない人食い一座 VS 砂漠の真ん中で孤軍奮闘のカーター一家という2個の限界集団による壮絶なせめぎ合いが描かれていたのでした。
  • しかし核実験の影響で生まれた畸形者たちってまた嫌なものを“敵”の位置に据えてきますね。そういう人々が嫌なのではなくそういう人々を敵者に据えてくるセンスが何気にすごい毒気だという意味です。複雑な気持ちになるけどなってる場合ではない、なぜなら殺されて食われるから、ってずいぶん意地が悪い。褒めてますけど。
  • 襲撃を受けてからの逆襲という実質二部構成がまともに熱い。そして眼鏡くんの汚名返上ぶりがすごい。前半はヘタレ以下のボンクラだったのに、現実を知って覚醒。実際に強くなったわけじゃないけど覚悟完了した人の強さってこんな感じかもしれない。
  • 弟くんに対する赤ずきんちゃんの入れ込みぶりが冷静に考えると異様なんですけど、なぜか突っ込む気にならないんですよね。ほんまに天使やで。


ヒルズ・ハブ・アイズ [DVD]

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9月5日『REDリターンズ』

原題:Red 2
2013年/アメリカ(ディズニー)/116分/映倫:G
(あらすじ)コードネーム「RED(Retired Extremely Dangerous=引退した超危険人物)」と呼ばれ、CIAに危険視されるフランク、マービン、ビクトリアらは、32年前に一度は失敗し、封印されたはずのミッションがきっかけとなり、再び戦いの舞台に呼び戻される。いまだ衰えない戦闘能力と情報収集能力を駆使して過去を探るうちに、一行は各国の諜報機関や殺し屋たちに狙われるはめになるが、やがて封印されたミッションに隠された真実が明らかになり……。(映画.comより)

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オススメ度:★★★★☆

  • アクション、コメディ要素、痛快さ、派手さ、ばかばかしさ、そしておじいちゃんズ・ギャップ。前作ではまるで手の届いていなかったあらゆるカユイトコロにことごとく手が届いた逸品。本作によってようやく『Red』という作品が完成したような気さえします。
  • ていうかほとんどハニーが主人公。そしてハニーの覚醒ぶり・はっちゃけぶりがやばい。ハニーが超かわいい。「Yes!」って叫んじゃうの超かわいい。そんな彼女にメロメロベタボレなフランクが過保護すぎて笑わざるを得ない。もうこれだけでずいぶんご機嫌です。
  • さらに、このバカップルのおかげでツッコミ役に回らざるを得なくなったマービンがマービンなりにやっぱりちょっとおかしかったり、ビクトリアとイヴァンの方もバカップル化していたり、さらに今回は“若造”がツンデレの萌えキャラ・マスコットと化したりと、作品的チャームポイントは枚挙にいとまがありません。パーフェクト。
  • 面倒なのはやはり前作を観ているといないとではキャラクターの捉え方に大きな差が出てきそうな点。ハニーの暴走ぶりに口あんぐりまで至れるのも前作の彼女を知っていればこそだと思いますし。前作はキャラ紹介だと思って観ておくしかないでしょうね。



9月5日『キャプテン・フィリップス

原題:Captain Phillips
2013年/アメリカ/134分/映倫:G
(あらすじ)09年4月、援助物資として5000トン以上の食糧を積み、ケニアに向かって航行していたコンテナ船マースク・アラバマ号は、ソマリア海域で海賊に襲われ、瞬く間に占拠されてしまう。53歳のベテラン船長リチャード・フィリップスは、20人の乗組員を解放することと引き換えに自ら拘束され、たった1人でソマリア人の海賊と命がけの駆け引きを始める。米海軍特殊部隊の救出作戦とともに、緊迫した4日間を描く。(映画.comより)

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オススメ度:★★★★★

  • 現代のアメリカの就職事情について自分の子供の将来のことと絡めながらフィリップ船長とその夫人が憂いを語るところから始まる本作は、就職もクソもない、財産を得たければ海賊に“就職”するのが当然の選択肢の一つであるソマリアと先進アメリカとの熾烈極まる対比から、それすらもまるごと飲み込み腹の底に沈めてしまう国際社会の理不尽な強大さと無慈悲さの示唆にまで至っています。派手なスリラーの皮をかぶった超アグレッシブな社会派映画でした。
  • この手の作品は表向きとても静かな表現で製作されることが多いので、往々にして客の入る間口が狭くなりがちですが、本作はエキサイティングでスリリングな娯楽的側面も充実したあまり比類のない作品でもあります。
  • とにかく駆け引き。人質と犯罪者との駆け引きに次ぐ駆け引き。トンチの利いた高等な頭脳戦が繰り広げられるわけではありません。赤子そのものの海賊たちを相手に感情と理性とのギリギリの境界線を自分にも相手にもさまよわせ続ける。一人一人がいつ爆発するともしれない爆弾と化すほどの極限状態が連綿と繰り広げられるのです。まるで波打つ海のように大きくうねりながら。
  • ソマリア海賊のキャラクタリングがまた感慨深いです。彼らは嬉々として海賊稼業を選んだ野蛮人ではありません。貧困ゆえというのももちろんありますが、本作で集中的に表現されるのは主に彼らの無知さと、無知ゆえの蒙昧さや理性の幼さです。そしてそれらすべてが引き金となった危うさ。現代の国際社会にアメリカンドリームを謳う民族がいまだ存在することを僕たちは率直に認識できていたでしょうか。
  • フィリップ船長の言動や機転は徹頭徹尾、「緊急時の模範」とも言えるものでしたが、悪く言えばマニュアル的でもあり、いずれにせよ“知識”によって裏打ちされたものだと読み取ることができます。これがまた、無知ゆえにドツボにはまり行動不能・機能不全に陥っていく海賊たちとの対比になってもいたんですね。



9月7日『アウトレイジ・ビヨンド』

2012年/日本/112分/映倫:R15+
(あらすじ)関東最大の暴力団組織・山王会の抗争から5年。関東の頂点を極め、政治の世界に進出するなど過剰に勢力拡大を進める山王会に対し、組織の壊滅を図る警察が動き始める。関西の雄ともいえる花菱会に目をつけた警察は、表向きは友好関係を保っている東西の巨大暴力団組織を対立させようと陰謀を企てる。そんななか、以前の抗争中に獄中死したはずのヤクザ・大友が生きていたという事実が持ち出され、突然出所を告げられる。(映画.comより)

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オススメ度:★★★★☆

  • 日本のヤクザ映画って僕はそんなに縁がないんですけどね、本作は実はまず何よりタイトルが気に入っているんです。アウトレイジ=非道、侮辱、蹂躙、法律を破るなんて意味もあり、極めつけは「激怒」。そのどれをとっても本作は看板に偽りなしで、このタイトル一つを穴にして激流の渦みたいに流れ込んでいく全体像にとても興奮させられます。ラストシーンはお見事!
  • チンピラや小粒ヤクザが多かった前作とは逆に、大勢力が2つ出てくることで大物ヤクザが増えたのもまたいいですね。大物は大物というだけでクセが強いし緊迫感がありますし。ただこのわかりやすい構図のために描かれる“抗争”も比較的秩序立っているため、前作のように火種と火花が無秩序に入り乱れて混沌とした火球の様相ではありません。
  • 5年前(前作)と比較して一番面白いのはやはり石原。前作では「小さい組でくすぶってる若いが切れ者の現代ヤクザ」だったのに、山王会の代替わりに関わったことでシード権で出世したけど自分より年上の部下大量に抱えて肩から力が抜けなくなっちゃったのかなと考えます。下の人間が増えるとそれだけ自分が頼もしく見えるように振る舞わなくちゃいけないって強制力さえ感じる心理って経験上よくわかります。どう考えても彼は山王会幹部のウツワじゃありませんものねえ。
  • 同じく石田の土下座シーンは本作きっての見どころ。加藤亮の演技がガチで死にもの狂いに見えて演技に見えません。中尾さんも土下座したのに(しかも石田に向かって)そっちがかすむレベル。もちろん目の前に座ってるのが三浦友和ビートたけしだからそりゃあたけしの方が怖いよねという共感もあります(笑)。
  • ちょいちょい無名の殺し屋(グラサンのあの人)がクローズアップされるのには思わずにやけつつもなんなんだろうと思っていました(^.^;)


アウトレイジ ビヨンド [DVD]

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9月8日『チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢』

原題:Poulet aux prunes
2011年/フランス・ドイツ・ベルギー合作/92分/映倫:PG12
(あらすじ)1958年テヘランを舞台に、楽器を壊され絶望したバイオリン奏者が、死を決意した最後の8日間で人生と叶わなかった愛を振り返るノスタルジックなラブストーリー。(映画.comより)

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オススメ度:★★★★★

  • いくらなんでも人間がたった8日(水あり)で餓死することはあり得ませんが、ナセル・アリは以前からの精神状態の影響ですでに不健康・虚弱化していたと考えればいいのでしょう。免疫不全ともなれば感染症でぽっくりいっても何も不思議じゃありません。少なくとも彼のような人間が5日以上自発的に絶食できた時点で、彼の衰弱と抱えていた絶望感が並みでなかったことは十分わかります。
  • 『ムード・インディゴ』に次ぐくらい悲惨な物語でもあります。覆水盆に返らずはそう軽々しい真理ではなく、壊れかけの危うい人にトドメを刺せば、死は決意されてしまう。人間にとっての“すべて”の概念は個々人に必ずあって、メロドラマのように都合のいい変革は本当は遠いところにあるものなのでしょう。
  • ただそれにしても僕はファランギースが嫌いになれないのです。彼女こそ要は普通の人でしょう。いやさ、彼女もまたナセル同様、生涯を恋に生きてしまった人なのかもしれません。あまりに頑なで一途すぎた。一方でナセルとイラーヌの過去を見る限り、ファランギースに入り込む余地はなく、そしてそれを彼女が知ることもないのだと思うと、人生の残酷さを思わずにはいられません。
  • ファランギースがナセルを怪物と呼んだのもあながち間違っていないから一層悲壮ですよね。ナセルはすでに人であることを捨て、イラーヌとの恋を“すべて”とした「バイオリン弾き」という生きものに変わり果てていたと言っても過言ではなかった。普通なら彼を薄情な人間とすべきかもしれませんが、怪物にそのような揶揄はもう届かないのです。無論、彼は望んで変わり果てたのですから。
  • 娘と息子の「その後」を臆さずさらけ出す作りも見事。ナセルの絶望的な死を人はやり過ごし、ただ忘れるのではなく、しかし幸福も不幸も結局は当人が培う。そうやって世界は回るし時は流れていく。恋も絶望も、いっとき色濃く浮かんでは、やがて空気に溶けて穏やかに消えていく。劇中でいたるところで印象的にくゆる煙草の煙がまさに象徴していたようです。