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case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

映画録・番外(10月下)

自動車の運転がかなり体力を持っていきます。慣れるまで簡易版メインになりそうですね。

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目次(項目ごとに5段落の感想)
  • ハリケーンアワー
  • 早熟のアイオワ
  • 柘榴坂の仇討
  • ワールズ・エンド 酔っぱらいは世界を救う!


※ネタバレは抑えめですが、物語の核心に触れていることはありますので、要注意。


オススメ度早見(説明はあくまで一例)
・★★★★★…… 俄然オススメ。必見。人を選ぶことはあるだろうけど一度は観ておくべき。
・★★★★☆…… 強く推すわけではないけど誰でも存分に楽しめたりする。いい完成度と満足度。
・★★★☆☆…… 完成度はそこそこ。でも充分楽しんで観られる。
・★★☆☆☆…… ちょっと惜しかったり、好みが合えば楽しめるかもしれなかったり。
・★☆☆☆☆…… 雑談にも挙がらない。人にオススメする機会はなさそう。


10月20日『ハリケーンアワー』

原題:Hours
2013年/アメリカ/96分/映倫:G
(あらすじ)2005年8月、巨大ハリケーン「カトリーナ」に襲われ、無法地帯と化したニューオリンズの病院を舞台に、生まれたばかりの我が子を守るため奮闘する父親の姿を、ポール・ウォーカー主演で描いたサバイバルサスペンス。巨大ハリケーンに襲われ、混乱に陥ったニューオーリンズの病院でノーランの妻が出産し、そのまま息を引き取る。早産で生まれた子どもは生命維持装置から動かすことができず、ノーランは我が子を守るため電源や水の確保に奔走する。しかし、壊滅的な打撃を受けた町では略奪やレイプ、放火など犯罪が横行し、やがてノーランのいる病院にも銃で武装した略奪者が現れる。(映画.comより)

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オススメ度:★★★★★

  • こうどんなタイプの人にも手放しでお勧めできてしまう作品も逆に珍しい。「グロ抜きエロ抜きホラー抜きで気軽にハラハラできる作品はない?」と聞かれてこのタイトルが口から出てこない方がおかしいくらいでしょう。90分映画ですからサクッと観やすいですし。
  • あらすじにはありませんが本作最大のキモは、主人公の娘の命を繋ぐ生命維持装置の電源。娘と二人きりで取り残された上に停電の中で、主人公は手回し式の発電機に飛びつくのですが、生命維持装置の充電池の方がオンボロだったのか、とにかくたった三分弱しか充電できないことがわかります。電池切れになった後に充電しても装置が再起動する保証もない中、主人公はその三分を下回る制限時間の中で点滴用のパックを探したり屋上へ救護ヘリを呼びに行ったり救急車を動かそうとするのです。
  • ちなみに主人公の娘について、序盤で医者から「48時間経てば自分で息をし始めるはずだ」と宣告されています。最初からちゃんとゴールが見えていますが、見えていたらいたで距離を意識してハラハラしてしまうんですよね。あとどのぐらい?まだそんな時間!?48時間を3分で割ると、とかちょっと考えたくありません(笑)。また主人公は48時間起きていなくてはいけませんが、奥さんが産気づいたのを聞いて病院に駆け付けたのが夜ですから、彼の実働はスタート時点からすでに10時間を越えていたと思われます。
  • 三分をくり返していて途中で飽きてこないかといえばそこも安心できない安心設計。オンボロ充電池は使うほどさらに老朽化していきます。充電するたびに時間が戻るタイマーが戻り切らないのを見て、主人公が「おい、ちょっと待ってくれよ」みたいな反応をするんですが、観てるこっちも全く同じことを思いましたからね。テンポも絶妙で少しずつ減っていきますからいやらしいことこの上ない。また逆にタイマーの数字に変化がないときは心底ホッとさせられるようになってくるのです。
  • シチュエーションの必然性もいい感じですね。人手も足りない小規模の病院では避難時のフットワークが悪いだろうし、普段使わない充電池も整備や交換も行き届いていないなんてこのご時世よくある話に思えます。よくあるとわかっていても勘弁してほしい。と思うからこその感情移入だったのでしょう。今思えば、序盤でストレッチャーが足りず遺体が遺体袋にも入れてもらえずスタッフ用廊下の隅に寝かされていた描写は、病院の醜状を象徴していたのですね。


ハリケーンアワー[DVD]

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10月22日『早熟のアイオワ

原題:The Poker House
2008年/アメリカ/93分/映倫:R15+
(あらすじ)1976年、アイオワ州の小さな町に暮らす14歳の少女アグネスの家には、夜ごとドラッグディーラーや賭博、セックスを目的とした男たちがやってくる。母親はアグネスに売春を強要し、そんな絶望的な状況の中でも、アグネスは2人の幼い妹を守りながら必死に生き抜こうともがく。しかし、やがてある事件が起こり……。(映画.comより)

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オススメ度:★★☆☆☆

  • うーん、どうでしょう。ジェニファー・ローレンスが好きで、かわいそうな境遇の少女が意外に「おお、強いな」と思わせる軽妙な手腕で溌剌として“まっとうな生き方”をしようと奮闘するのをジェニファーが演じているのが観たい、という人にはオススメしてもいいかもしれません。「えっ、それって『ウィンターズ・ボーン』?」と思った人には、製作は本作の方が2年早いですからジェニファーがさらに若いですよ、とだけ言っておきます(笑)。
  • あまり似た作品と比べるようなことを言うのは好きじゃありませんが、素直に面白い映画が観たいなら『ウィンターズ・ボーン』の方が断然。本作の主人公アグネスのように溌剌としながら貧窮に立ち向かっていく少女も素敵といえば素敵ですが、やや浮世離れしたその手腕のためか、『ウィンターズ・ボーン』のような「この子はこの先どうなってしまうのだろう」という不安感が薄いんですよね。
  • 彼女自身において「恋心にほだされた」以外に何も問題ないように見えるのがそのかゆいところ。まあそういうテーマだったかもしれませんが、それなら彼女の「失われた青春」のような対比の描写が欲しかったかも。アグネスに気がある男の子(一般家庭育ち)とかあってくれてもよかったもの。
  • ただ、アグネス自身の中にその対比がない代わりに、妹二人がそれぞれアグネスとの対比のように描かれているのはやや好きな部分。14歳という節目に立たされて苦闘するアグネスのそばで、窮状を共にはしていても“まだ”節目に至らず無垢でいられる妹たちの“これから”が、アグネスの「失われた青春」を思わせはして、裏に流れる哀愁をにおわせます。
  • またその“節目”の象徴である母親がいい感じにおそろしい。彼女がアグネスに売春の強要を口にするシーンで、アグネスは学校の勉強をしているんです。あのシーンだけは間違いなく、「やめてくれよ…」という嫌な気持ちでですが、アグネスにグッと感情移入できた気がします。


早熟のアイオワ DVD

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10月23日『柘榴坂の仇討』

2014年/日本(松竹)/119分/映倫:G
(あらすじ)幕末の安政7年、主君・井伊直弼の御駕籠回り近習役として仕えていた彦根藩士の志村金吾は、桜田門外において目の前で井伊の殺害を許してしまう。切腹も許されず、仇討ちを命じられた金吾は、時が明治へと移り変わってもなお、井伊を殺害した刺客を探し続ける。やがて金吾は、井伊を討った水戸藩浪士の最後のひとりで、車引きの直吉と名を変えて生きていた佐橋十兵衛を見つけ出すが、その日、明治政府が仇討ち禁止令を発する。(映画.comより)

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オススメ度:★★★★☆

  • 劇場で観たのに結局公開期間中に感想を書けませんでしたが、結構お気に入りの時代劇です。中井貴一が主演ですが、かつてツイッターにおけるヒラコー先生の熱烈なミキプルーン打線(金ローで陰陽師放送中)を思い出して観賞中に吹き出しはしまいかと変におそるおそるな部分はありましたが、超シブイじゃん中井貴一!歳のためか演技かより渋みを増した“仏顔”が強く印象に残っています。
  • 阿部寛もよかったですね。ていうか主演二人の演技の気合いの入り様がちょっと凄まじい。阿部さんなんかテルマエみたいなビッグタイトルの方が気を抜いて演技してない?と言いたくなるくらい本作の演技には熱が入ってます。もう古代ローマ人俳優にしか見えないなんて言って大変申し訳なかった。テルマエ坂の仇討じゃ全然なかった!
  • 静かでストイックながらもしっかり人情もの的な内容。ハードボイルドな展開を期待せずに観れば、あとは全体通して「サムライってそういう生き物よね」を貫き通して表現してくれています。武士という生き物をどれだけ理解してどれだけ好きかで評価は別れるのでしょうが、それこそがザ・時代劇、という感覚で言えば本作は最高級。あ、もちろんフィクションの「武士」ですよ。
  • ザ・時代劇と言いつつ現代との価値観のズレに観る側がそこまで苦しまなくてもよくなっているのは本作の強みですね。金吾が下手人探しをしているうちに時代は明治に移ってしまい、我々の価値観に近いその時代において、前の時代を引きずる武士たちがどのように新しく生きるかという話ですから、話の向かう先と結論にはこちらも共感しやすいわけです。また、金吾の武士魂が主君に対する「好き」という感情に根差しているのも、現代に寄りすぎないながらもわかりやすい価値観ですよね。
  • 顔の左右非対称をよく揶揄されていますが、広末涼子さんはやっぱりかわいいですよ。むしろ非対称なのが気になってじっくり見ちゃう。非対称でなければ完璧な美人かもしれませんが、その完璧でなさが妙に色っぽく愛嬌もあります。なんてもう言い尽くされたことなのかも。若者の戯言です。



10月26日『ワールズ・エンド 酔っぱらいは世界を救う!』

原題:The World's End
2013年/イギリス/108分/映倫:PG12
(あらすじ)20年前、一晩で12軒のパブをめぐる「ゴールデン・マイル」に失敗したことが忘れられないゲイリーは、再挑戦するために当時の仲間アンディら4人を集め、故郷ニュートンヘイブンに舞い戻る。やがて5人は、町の人々の様子がおかしいことに気づくが、戸惑いながらもひたすら12軒目のパブ「ワールズ・エンド」を目指して飲み続ける。(映画.comより)

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オススメ度:★★★★★

  • ★4つでいいんじゃないかと迷いましたが、観て損をしてでも観ないと損、だってこんなアホなのによくできた作品他にない!という結論。予告編ではアホくさくて支離滅裂なだけの内容に思えましたが、アホくさいのはともかく支離滅裂なのを「酔っぱらいだからしょうがない」ですべて処理しているあたりが笑えます。話はとんでもなく壮大になっていきますが、要はまったく酔っぱらいは手に負えないという話です。
  • 「観れば飲みたくなる」類の作品でもありません(と思う)からお酒が飲めない人も遠慮なくご覧ください。どちらかといえば酔っぱらいという生物が好きか嫌いかで評価が別れそうですが、酔っぱらいに嫌な思い出しかない人も酔っぱらいを馬鹿にする目的でご覧ください。酔っぱらいのどうしようもなさを指さして笑う。酔っぱらいが無駄に強くて元気なのも笑い飛ばす。「飲んどる場合かァーッ」を連呼する。そんな感じでいいと思います(笑)
  • 欠損描写が苦手な人だけ、気持ち悪くなるかもしれないので注意ですかね。正確には“人体”の欠損はありませんし、切れ目はレゴブロックのジョイントのようになっているし、血の代わりに青いインクみたいなのがぶちまけられますが、そいつらが人の姿かたちをしているのには変わりありません。PG12指定はそっちか暴飲描写かどちらかのためでしょう。
  • 本作ではとにかく酔っぱらいどもがどうしようもなさすぎるので、その兼ね合いでか“敵”の設定がやや斬新ですね。いわゆる“侵略者”の一種としてカテゴライズはしていいのでしょうが、厳密にはあまり“侵略”という感じではありません。侵略されちゃえばよかったんじゃないとは思わないけれど、なんか酔っぱらいの相手をさせられたのがかわいそうにも思えてきます(笑)
  • なんでこんな映画なのに脚本が良くできてるんだよ!というのが最後に出るツッコミ。終盤付近までゲイリーらの「最初のゴールデン・マイル」に対応した展開になっているのが、単純に粋であるとともにやはり出来として秀逸です。観終わってからもう一度冒頭の「ゴールデン・マイル」を観直すと気がつくところが多々あって楽しい。小技の効きがむしろ憎らしいぐらいです(笑)


ワールズ・エンド/酔っぱらいが世界を救う! [Blu-ray]

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