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case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2014,1,6 PM8 【映画録18-B『華麗なるギャツビー』『不安の種』『ダークスカイズ』】

本日のお品書き

【映画録18-B】

【映画録18-A】

【映画録18-A】のつづきです。
こっちの3本は5段落という制限つきで書いています。

case.728の映画録は、ネタバレは「もしもあったらごめんなさい」でお送りします。

12月27日『華麗なるギャツビー


  • かぐや姫の記事のときに少し言及しました。ある意味対照的でありながら同じ線の上にいる姫とギャツビー氏。望みと共に生き、絶望にも妥協にすらも背を向けて全力で生き抜いた“華麗なる人”。当映画録おうち観賞版2013のフィナーレをこの作品で飾れたのは身に余る名誉だったと思います(正確にはトリの作品とはなりませんでしたが、いつものTSUTAYA DISCASから去年最後に借りたのがこれです)。
  • 無論、ギャツビー氏というキャラクターが素晴らしいのはそもそも偉大なる原作の力によるものです。むしろそれを損なわないように脚色し編集し描き切ったことと、演じ手であったディカプリオ氏の健闘こそがこの映画の素晴らしさでしょう。特に語り部であるニックとギャツビー氏の関係性にのみ焦点を絞り、映画ならではの限られた表現の枠の中でニックへの感情移入を最優先にして細部を削ぎに削いだ編集の結果が本作だとしたら、この上もない出来栄えです。
  • 「どいつもこいつもクズばかりだ。きみだけが素晴らしい」ニックと同様の賛辞をぼくも贈れるものなら贈ってみたいですが、これはニックと同じ立場からニックと同じ心を持って言わなくてはまったく重みがありませんね。「勝利に勝る恥ずべきことこの世にありや」まず心の積み重ねがあり、それをはっきりと捉えることができて初めて見るものは重みをもつのでしょう。ギャツビー氏の激昂するシーンはあまりに切ない。
  • それはそうとあのギャツビー邸(いや正直ブキャナン邸も)はマジであんなシンデレラ城だったんでしょうか。時代考証合ってても間違っててもたいへん面白いのですが。調度も、それからあのパーティも、あの時代を知ってる人(ってもう今ほとんど生きていないでしょうが)でもおったまげるような絢爛ぶり。絢爛というかド派手。色彩に深みがない分安っぽい印象があると言えばありますが、「狂乱の時代」という言葉にはお誂え向きでしょう。あからさまなエレクトロミュージックなんかが極めつけです。なるほど、とち狂ってる。

12月28日『不安の種』


  • 中山昌亮の原作は未読ですが、友人からなかなかいい怖さのホラー漫画だと聞かされていたところへ外連味たっぷりの予告編が目に入ってわりと期待していた作品。帰省中の弟が借りてきてくれたので一緒に観ました。
  • いやはや、久々に良質の和製ホラーを観られて期待以上の満足感。というか新境地?全編通して「怖い」というよりひたすら「不気味」という、邦洋問わず映画というジャンルだと珍しいタイプのホラーでした。
  • とにかくこちらの気持ちを不安定にする。そういう要素がどこを切っても出てくるように敷きつめられているんです。怖いシーンは基本的に笑ってしまうのですが、それが全然嫌じゃなかったりもするんですよね。むしろ清涼剤。一息入れるタイミング。全編に広がる不気味さの方をこそ“愉しむ”ためのホラーだったのです。
  • それこそ観ている間は本当に口元がニヤついてどうしようもありませんでした、ホラー映画やドラマを観ていて、怖いシーンの来そうな気配を感じ取ると、ホラー好きな人はたいていそれでワクワクしてくるじゃないですか。あのワクワク感をあの手この手でひっきりなしに味わわせてくれるような感じなんです。その特色を活かすためか、「ひきこさん」とか「口裂け女」とかを初めとした従来のホラーのように定まった“恐怖の首謀者”がおらず、小さな投げっぱなしホラーがたくさん組み合わさってできているというのも特徴的。
  • 「怖くないホラー」と言うとまた苦手な人にうそつき呼ばわりされそうですが、「怖い以外のホラー」という変わり種。ある意味恐怖に真摯なホラーに慣れてしまった現代の人向けのホラーと言えるのかもしれません。もちろんコメディではありません。悪ふざけみたいなところは多いのですが、それもそれでなんだか得体が知れなくてやっぱりどこか不気味。そういう方向性でなら和製ホラーもまだまだ戦える、というのを見せつけられたような気さえしました。

12月30日『ダーク・スカイズ』


  • 和製ホラーの新境地に対してこちらは洋ホラーの伝統芸。弟がまあまあ怖かったと言いつつ、ぼくが観たいと言ったら二度目のレンタルをしてきてくれました。
  • このパターンには飽きたという声も多いようですが、自分としてはなかなか面白かったですよ。確かに真相に目新しさはないのですが、ぼくの場合どちらかというと悪霊モノや悪魔憑きモノにうんざりしつつあったせいかもしれません(あと都市伝説とかも好きです)。
  • とはいえ単純に良作と言える出来だったとも思います。至極無難に仕上げてあって印象も薄いのですが、ビッグタイトルだからと変な期待をしたり変なエリート志向を持たなければやっぱり楽しめるんじゃないでしょうか。というか、謳い文句が某ノーマルアクティビティやインシディなんとかを引き合いに出してる時点でお察しの出来だったところへ、ぼく的にはむしろ意外によかったという話でして。
  • まあしかし、手法やネタの提示の仕方においてわりかし目新しいものを追求してきたスタッフが、無難な観せ方で普通に優等生な映画を(真相が新しかったことはなぜか一度もありませんが)作ってしまったというところに寂しさを覚えないと言えば嘘になります。興業的に成功してるならそろそろやんちゃなことをしてほしいところ。マーケティングにうるさいアメリカ市場では難しいのかもしれませんが。
  • それにしても真相の隠し具合に困りますね、この作品。関連する用語も要素もわりと数珠繋がりで内容に関して何を言っても一発でネタバレに繋がりそうです。洋画で幽霊でも悪魔でもなくてしかも意外性がないってだけですでに、うーん、セーフかしら…。

5段落にくらいにまとめると言いながら、ひと段落ごとの文字量が確実に多くなってますね(^_^;)

しかし手法としてはいいかもしれません。
いつもいつも無制限に書くせいで長ったらしくなりがちですし。

もちろん言葉を尽くしたくなる作品に出会うこともあるのですが、毎度のことじゃありませんしね。