case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2014,1,22 PM8 【映画録21『クロニクル』『モンスターズ・ユニバーシティ』『V/H/Sシンドローム』『トータル・リコール』】

ハラペコの帰路にてお街のたこ焼き屋さんに立ち寄る。

天気もいいのでよさげなロケーションを探して自転車を走らせ、あの川原のベンチがまあまあよかったけれどもう少し先にもっといい場所があるような気がしているうちに自宅近辺まで辿り着いて結局得策が帰宅することになってしまいました。ああ、たぶん僕の人生って概ねそんな感じなんじゃないでしょうかね(うふふ

しかしながらおあずけ食らった後のタコ焼きの味といったら、ちょっと筆舌に尽くしがたいものが(笑)
冷めてないうちに帰りつけたのも幸い(*'ω'*)

もちろん間違いなく元々おいしいタコ焼きなのですよ。
お月賦をもらい始めたら地元経済に貢献していきたいと思える味(予備校生用語で「また食べたい」の意)でした。

本日のお品書き

※case.728の映画録は、5段落でまとめる観賞済みの方向けの参考記事を目指しています(No.18から現在)。なのでネタバレにつきましてはあることもないこともご容赦ください。

1月16日『クロニクル』


  • スクールカーストの底辺にいた少年が超能力でいわゆる“イカロスの翼”ごっこする話なのですが(別に宇宙に行くわけではありません。フライング・ヒューマノイドごっこまで)、主人公であるその少年の鬱屈ぶりがたいへんリアルに擬えられていて素晴らしいと聞いたので手を出してみました。そういういきさつのため珍しく予告編を見ておらずモキュメンタリーということを知らずに観始めたのですが、そっちの要素も含めてとても面白かったです。
  • すでにジャンルとしてできてしまっているので言葉として使いますが、しかし本作についてはあんまりそうモキュモキュ言わない方がいいのかもしれません。メインで回るのは主人公のカメラですが、彼がカメラを回したがるのは単に“カメラを持っているから”。特に理由はないけれどカメラを回していたい。作中で説明はされませんが、それによって得られる“カメラを回している人”というアイデンティティこそが彼の目的だったと思います。年頃の非ジョック的な男子が走りやすい行動として、共感できる人はできるのではないかと。自分にもなんとなくピンと来るものがありました。
  • 要するに映画の手法自体がすでに主人公の内面に言及しているという地味に特殊な仕様なのです。それこそ手法選択の動機が世に数あるモキュメンタリーと一線を画していますから、あんまりモキュモキュ言っていると外見だけしか見ていないような気持ちになってきます。
  • そもそもモキュメンタリーで青春を撮るというのは、地味すぎるせいで面白く撮ろうとしてもなにげに難しいんじゃないかと思います(お芸術でやれてしまう怪物もいますが)。少なくともほかの映画の真似をしていてはロクなものにならないでしょう。その難題に対する対抗ツールとして本作が持ってきたのが“超能力”。脚本的にもとても重要なファクターである主人公たちの“テレキネシス”を、カメラがハンディであることと組み合わせて、ほかのモキュメンタリー映画にはあり得なかった演出をしてみせているのです。個人的にお気に入りなのは、カメラが人の手に触れていないときに、モキュメンタリー最大の特徴であるはずの“手ブレ”が排除されることですね。つまりそのシーンだけ普通の映画とまったく変わらない映像となるのですが、それでもしっかり“モキュメンタリー”は継続しているという不思議な状態が実現しているのです。
  • ちなみに脚本は“ほぼ『キャリー』”と言うと半分くらい伝わると思います。主人公はカメラを買って動画撮影という趣味に走り始めたナードボーイで、超能力は後天的(劇中にて獲得)。特別な力を持った少年の、一瞬の栄光と墜落。よくできた思春期モノ。原理主義の母親はいませんが、労災退職して酒浸りのDV親父がいますからそこも似たようなものですね。一つだけ留意しておきたいのは、主人公の墜落はキャリーと違って自業自得の側面も強いということです。同じ思春期モノでも“男子”の場合は、この側面を持たせて他とバランスも取れるかどうかって、とても重要な問題だと思っています。

1月17日『モンスターズ・ユニバーシティ


  • 昔から人が働いている姿が好きなので『モンスターズ・インク』も大好きでした。ぼくらは直撃世代ですしね。それにしても公開から12年も経った今さら初めての関連作を世に出そうなんて、さすが夢の国、余裕の製作だ、予算が違いますよ、と微妙に苦笑いしつつ、前日譚と聞いてやはり食指が動き観てこいカルロしたわけですが、とんでもねえ、待ってたんだ。ピクサーは期待を裏切らないどころか、直撃世代のぼくを死ぬほど驚かせてくれました。
  • 「ユニバーシティ」と入ったタイトルからもわかる通り、舞台は大学。「インク」で比較的スポットライトの当たったサリーではなく相棒のマイク・ワゾウスキ(なんとなくフルネームで呼びたくなる)の方に焦点を当て、学生時代における彼らの出会いとタッグを組んだ経緯、そしてマイクの“怖がらせ屋になるための奮闘と挫折”を描いたものです。そう、この時点ですでにぼくら直撃世代は眉をひそめるか目を見開くかしなくてはいけません。マイク・ワゾウスキは“怖がらせ屋になりたかった”!?
  • いつも思うことですがピクサーの脚本力は子供向けだからといってまったくあなどれないものを見せつけてきます。冒頭十分くらいは、小学生のマイクが学校の遠足で発電所(「インク」の舞台ですね)を訪れて、怖がらせ屋を夢見るようになった経緯が描かれるのですが、「インク」を知っている人はこの部分だけですでに本作がどんな“飛ばしっぷり”なのかがわかるのではないかと思います。脚本だけでなく映像的にも、マイクがとても小さな体とつぶらな瞳でこの上なく無垢な憧れを表現してみせますから、余計にタチが悪いのなんのって。大げさだと思う人は思い返してみてください。本作は子どもの夢を讃えるディズニー映画ですよ?
  • いやはや、もしかしたらいつの間にか夢の国も革新の時代に入っているのかもしれません。外見だけなら実写映画に市場をひろげたりして変わりつつありましたが、製作の根幹的なスタンスに今作ほど意外性を持たせてきたのは、少なくとも自分にとっては初体験です(大人向けだという『メリダとおそろしの森』が今さら気になってくるほどの衝撃でした)。
  • “夢を讃える”という大きなところは変わってないと思うのですけどね。しかし今の世代というのは、夢や憧れを持つのはわりと当たり前のようになってきているんじゃないかと思います。その上で、現実との折り合いのつけ方がわからず、芸のない挫折にしか行き着かない。情報化社会でこの過程の過ぎる速度だけ加速しているようにも思います。その中で“夢を讃える”には、挫折の話をまじえて語るしかないのだと思うのです。せめて踏み台にできる“芸のある挫折”を味わえるように。
  • 6段落目ですが一つ。ここまで脚本的なところを絶賛しておいて何ですが、マイクがいわゆる監督役をすることになったウーズマ・カッパの面々が成長するにあたって、“個性を活かす”というファクターが最後まで具体的に示されなかったのは少々もったいなかったように思います。メンバーが自分で気づいていったというふうに取れるようにもなってはいましたが、やはり一人一人について「彼の強みはこれだ!」という明示が欲しかったです。ただ、マイクにその舵を取らせると、マイクが“冷静な自己評価”をできてしまう可能性があり、クライマックスのための布石がなくなってしまいます。「インク」の前日譚であることも忘れてはいけませんから、ウーズマ・カッパ成長の極意みたいなエピソードは捨てざるをえなかったのかもしれません。

1月19日『V/H/Sシンドローム


  • VHS、すなわちビデオテープって、もうすっかり懐かしくなってしまいました。今の子どもたちって、テープ特有の劣化によるノイズって知ってるんでしょうか?本作はR-15なのでおそらくほぼ関係ないと思いますが(DVD-Videoメディア及びプレイヤーの初の商用化は日本では1996年年11月/Wikipediaより)。頻繁にノイズが入ったり、録画が重複する前の映像が挟まったりするのが、なんだか懐かしいとともに異次元を観ているような感覚が強くて面白い作品でした。
  • 先に取り上げた『クロニクル』と同じくモキュメンタリーですが、こちらもその仕様のおかげで意欲作として捉えられる楽しさがありました。何より、モキュメンタリーが常に獲得しようとしてきた“実際に録画されたものを観ている気分を味わう”という、観客のある種の没入を誘う側面において、本作は“VHSっぽい映像”のおかげで非常に効果的だったのではないかと思います(少なくとも“DVDっぽい映像”と言われてもピンときませんよね?)。
  • また解決編のかの字もなさそうな、終始投げっぱなしの無気味系ホラーだったのも印象的です。それこそモキュモキュしたホラーって個人的にはこういうのの方が好みですね。解決とか打開とかいう、ストーリーの目的がはっきりとあって、結末はどうあれドキュメンタリーチックに事態が進行していくものよりは、製作者の意図も感じられないくらい無造作に作られている方が、結局は没入できるということでしょう。
  • もちろん普通にそんなものを作っても間が持たないでしょうが、本作は「オカルトビデオコレクターの家に忍び込む」というメインラインの途中で、主人公たちが中身をチェックするために再生する数本のビデオの映像が挟まってきます。これがテレビのワイドドキュメンタリー番組のように、自然なメリハリを作ることになり、間が持つというわけです。個々の挿入ビデオの内容も、突出したものではないながら非常に“らしく”できていますし、何より傾向が統一的でないおかげで次はどんなのが来るのかというワクワクも持続してくれます。そういえば世にも奇妙なや本コワも、歳をとって傾向が知れてくるまでは大好きでしたねえ。
  • またこの挿入ビデオが、“劇中の人物が見ているビデオ”という位置づけにあるのも注目点です。たとえ挿入ビデオの内容がヤラセであれCGであれ、ビデオという媒体を通してそれを観ているというところは、メインラインの人物たちとシンクロしてしまうわけです。厳密にはそれも仮想現実なのですが、しかしそこまで頭でっかちに疑えてしまう人間というのはきっとそうそういません。挿入ビデオの中に「オカルトかと思ったら違った」として拍子抜けしてしまうものがあるのですが、その直後にメインラインの人物が「終わりかよ」と不満そうにつぶやきます。ホラーを観慣れてしまっている人ほど、こういう反応に共感して没入してしまう。入れ子の内側に気を取られているうちに、外枠の中に入ってしまっているのです。
  • 6段落目ですが、それにしても、本作という名のビデオを撮って編集したのは誰なんでしょうかね?

1月19日『トータル・リコール


  • “史上最強の鬼嫁”が非常に強烈な印象で他のことがことごとくかすんでしまっていますが、ちゃんと全体的に面白かったです(笑)。SF映画で世界観を上手に使い切った良作というのはわりあい珍しい部類のなんじゃないでしょうか。映画という枠の中で消化し切るのにちょうどよい世界観だったとも言えますが。いえいえ、意地悪な言い方ではありません。そういう世界観を用意するというのはそんなに簡単なことではありません。
  • 核戦争か何かで大気汚染が世界的にヤバくなったおかげで住める場所は二つしかない世界で、二つの都市を繋ぐシャフトがその事実も社会構造も合わせて象徴している、というのは非常にまとまりのいい世界観です。わりと取り扱いが面倒くさい“個性的な超技術”も出てきません。重要なファクターである記憶改竄の技術にしても、あまりわざとらしく強く持ちあげずに、SFっぽい技術の一つに過ぎないというような謙虚さで扱っています。その分インパクトは薄いんですけどね。
  • 脚本も非常にわかりやすいながら、記憶改竄と二重スパイを絡めるなんていう小粋なこともやってのけています。最終的に『インセプション』のような終わり方をするかと思ったらしなかったのには少々拍子抜けでしたが、きれいにこぢんまりとまとまってはいますから強いて嫌な感じはしません。
  • 脚本が優等生ならしかし内容は平均化されてしまいます。アイデンティティはどこに?本作がただの出来のいい作品にちょっととどまらないのはここのおかげです。こんにちは、鬼嫁さん。上司が生け捕りにしろっつってんのにデッドオアアライブだったりヒロインの前で主人公との性生活を臭わせて挑発したりエレベーターで上から来るぞ気をつけろだったり射線上に一般人が何人いようが一切ためらわなかったり「今までのわたしは偽物だったの!」って迫真の演技だったり。ちなみに最初にあの人のことを「鬼嫁」と呼んだのは劇中のヒロインです。公式設定です。
  • 出来のいい世界観と脚本と、いい感じにぶっ飛んだキャラクター。異色なものにはなり得ませんが、良質なエンターテイメントの条件としては大事なものを堅実にクリアした作品だったと思います。


うだうだ言ってたわりには観賞頻度あがってます(^_^;)

生活リズムを直したらいろいろ調子が良くなってしまいまして。

そのよくなった分を回す先がホントは他にあるんですよね。

ううむ、ヨーロッパ史を覚えられるように、そういうのを題材にした作品を探してみるとかで何とかなりませんかね?(;'x')