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case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2014,2,17 PM7 【劇場映画録『土竜の唄 〜潜入捜査官REIJI〜』】


も。も。も・ぐ・ら♪


こんじょーきめぇーればぁー♪ こーわーくーなーいーー♪


覚えちまったぃ……orz


今日は、15日に公開だった三池監督の新作『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』を観てきました。

月曜の昼間なのにやたら客の入りがいいと思ったら、ちょうど大学生の皆さんは期末テストが終わったばかりですね。なかなかお若い層にウケもよろしいようで絶えず笑い声があがっていましたから、おそらく興行的には追い風が吹いているでしょう。ええ、その、おそらく自分が一番笑い転げていた自信がありますけど。誰もいない前列側で終始お腹を抱えて悶え苦しんでいる人を見かけたらそれはぼくです。

ただ、実際の興行的にはもしかしたらスコセッシの『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(以下「WOWS」と略記)と公開時期が被ったのはかなーり痛かったかもしれません。タッチの差で大学生の層は期末テストの前と後ろという大きなスイッチのおかげでWOWSに手が出ている割合が少ないと思われますが、しかし一般の層は言うまでもなくテストありませんし。観ている間愉しめたからいいと言えるスタンスのぼくの方ですら、観賞後にちょっと物足りないような感じと、それなのに食傷気味かなという感じを同時に抱きましたので。

何が被るのかといえば、「いい大人がバカをやってる」的な笑いのテイストです。
そして「いい大人がするバカ」のレベルが、ごめんなさい、WOWSと比べると圧倒的に児戯。
いいえ、さすがに相手が悪すぎたんだと思います。WOWSを観てない方々は、本作をそちらと比較することなく、日本の名役者たちが大真面目にバカやってるのを観て胃がよじれるほど笑い転げることができるはずです。健全さで言えばこちらの方がどれだけマシかわかりませんし(笑)


今日はネタバレなし。



《笑える任侠映画/“男”になる/クレイジー・パピヨン

いきなり前置きからの但し書きになりますが、どんなにコメディタッチに仕上げてもヤクザを美化するような作品には不快感を覚える、という人はスルーすることをお勧めします。

「潜入捜査官」が主人公ということで明らかにヤクザが悪者だろうと思うかもしれませんが、本作はヤクザ組織に潜入した新米捜査官が、捜査を通しヤクザに影響されることで“男”として成長していく物語でもあります。
当然(とわかっている人なら言うでしょう)ヤクザたちは“極道”という道を彼らなりに真摯に生きる「いいヤクザ」と、道を外れる「悪いヤクザ」に大別され、その基準としては“極道の美学”なるものが存在します。まあ武士社会っぽい美学なので難しいものではないのですけどね。

現代の三池節で徹底的にギャグコメディとして着色されてはいますが、そもそも三池監督は任侠映画が下積みの人。本作で原点回帰かなと思ってはいましたが、実際骨子の半分くらいはしっかりヤクザ映画しています。そこのところは踏まえた上で、まあ真道が外道を制裁しようとする映画と捉えましょう。

ちなみに悪役、つまり「外道」は、麻薬取引に手を染めたやつらです。どうしてもWOWSを引き合いに出したくなるようで済みませんが、あちらの麻薬描写に対してさすがに不快感の方が勝ったという人はこちらを観てスカッとしましょう。

どれだけ短くまとめたかろうとどうしてもはずせないのはクレイジー・パピヨンですね。堤真一さんです。

ヤクザ映画には付き物のいわゆるアニキ分なのですが、まあキャラが立ってキャラが立って立ちすぎてしょうがないですねクレイジー・パピヨン
エンドクレジットで堤さんの名前は5、6番目くらいに並んでるくせに主演を食いかねない圧倒的存在感ですものねクレイジー・パピヨン
もうパピヨンの印象強すぎて役の本名忘れましたもんクレイジー・パピヨン
ヤクザ連合の会長まで「パピヨン」って呼んでたものクレイジー・パピヨン
しばらく堤さんの出てる映画まともに観れないよ助けてクレイジー・パピヨン

もうね、蝶柄のスーツ着てるだけのちょっと変わったオッサンなんですけどね、クレイジー・パピヨンって。「蝶狂い」の異名に恥じず、どうやら蝶のことなら知らないことはないようなんです。いや正確にはおそらく「狂犬」をもじった「狂蝶」で、まさしくヤクザとしては“狂犬”でめちゃくちゃ強い上に、「ヤクザは面白くなくちゃ」が座右の銘の酔狂屋で漢気にも溢れててもうかっこよすぎっていう。

これでキャラが立たないわけがないのにまださらに堤さんですからね。蝶柄のスーツ着てるだけでもうすでに笑えます。
目が大きく彫りが深いだけで顔芸も立ちますし、しかし笑うと愛嬌のあるオッサンですから、喜怒哀楽の激しいイロモノヤクザ役にはぴったりです。
ぼくはめっちゃコワモテのくせに自分の趣味について語ると全く屈託のない子どもみたいな笑顔を浮かべるタイプのオッサンがこの世で最強の癒しキャラだと思っていますが、ぼくが在籍してた研究室の教授と堤さんのクレイジー・パピヨンがまさにそれですね。ワシントン条約レベルのニワトリと蝶をそれぞれに持っていって見せたらむちゃくちゃ驚いたり喜んだり唸ったり悔しがったりしてくれるはずです。ぼくにとってはあんたらの方が天然記念物だよ(^ω^)

もちろん主演の生田斗真くんのことを忘れたわけじゃありません。
『脳男』のときとは180度違う、熱血童貞不良バカの正義漢キャラを表情豊かに演技してくれています。

悲鳴と顔芸のオンパレード。めちゃくちゃ情けない声で痴態を晒してくれたりしてなかなか好感が持てます(誤解を招きそうな発言)。
こんな若い時分からヨゴレ芸とはさすがぼくらのジャパン。

わりとアクション(殴り合い)に重みがあるのも見どころの一つです。まあそっちは若干パピヨンが食っちゃってるんですが(笑)

個人的に一番好きなのは、早漏回避のために頑張るシーンと終盤の「おまえらバカじゃねーのぉぉ!?」です。特に後者、好きですね。遅いよREIJIくん、早漏のクセに……。


武装錬金フィギュアコレクション パピヨン (蝶野公爵)

武装錬金フィギュアコレクション パピヨン (蝶野公爵)

余談

あーしかし、単純に笑える→笑えると連続で観ようとした時点である程度食傷は覚悟すべきだったようにも思います。スコセッシのWOWSの圧倒的な強さが尾を引くことはわかり切ってたはずですし。

今朝の朝刊に目を通していたら、『小さいおうち』に鞍替えしていたはずなのですが。三池監督には悪いですけど実に惜しい。
いやさ、黒木華さん、ベルリン映画祭主演女優賞おめでとうございます。

『小さいおうち』の公開は確か来週いっぱいまで。日を改めて観に行く暇あるかなあ。今週末は追いコンで広島出張だし、22日にはモーパイの劇場版も始まっちゃうし、うーん……。