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case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

2014,3,31 PM10 【映画録32『ロード・オブ・セイラム』『マニアック(2012)』】

PicsArtで編集中の出来事。

(広告バナーの反乱)

よよよよけえなすぇわじゅぁーぃぃぃぃっ!!!Σ(゜Д゜;)゜。

本日のお品書き

  • ロード・オブ・セイラム
  • マニアック(2012)

3月が終わります。明日から消費税は8%ですね。
大きな買い物はとっくに済ませていましたが、結局今日食料の買い出しには行かずじまい。まあ嗜好品の話ですからそこまでお財布には響くまいと高をくくっています。
ただ、明日すぐにスーパーにコーヒーやらお茶菓子やらを買いに行くことをいざ想像すると、時流を読み損ねたバカ丸出しをアピールしにいくようで、微妙に行きづらいなんて被害妄想が……。

※case.728の映画録は、5段落でまとめる観賞済みの方向け参考記事を目指しています(No.18から現在)。なのでネタバレについてはあることもないこともご容赦ください。

3月20日『ロード・オブ・セイラム』


  • 予告編のあまりのかぐわしさに飛びつかざるを得なかった本作(笑)。魔女裁判および火あぶりの刑が行われた現実の過去の事件を題材に、その事件が起こった現代の村を魔女の怨念と呪いが襲う!始まりは一枚のうさんくさいレコード。村のFMラジオ局で音楽番組のDJをしているハイジは、自分あてに届いたそのレコードをデスメタル系のロック・バンドだと勘違いして電波に乗せる。しかしその日を境に彼女は体の不調を訴えるようになり、周囲でもおかしな出来事が次々と以下略。予告編とタイトルからすでに、ハイジが“ロード(Lord)”に、あるいは“ロード”として、魔女の呪いを介して見初められ、徐々に覚醒させられていく話だとは類推していました。定番の導かれる系ですね。
  • ただ、多くの作品が(ホラーの場合)導き手が黒幕とかで最終的に主人公は自らの宿命と対決する(勝ち負けはともかく)、というエンターテイメント性へ脚本を繋ぎたがるのに対し、本作は防戦ですらなく、ひたすらなすがまま、手遅れになるまで止まらずに行ってそのまま終わります。しかもその結末による“影響”について、何が起こるのか、そもそも何か起こるのか否かまで曖昧に伏せており、視聴者の解釈を委ねる姿勢。賛否が分かれるのも当然というか、この部分が直球で好きというのはごく少数派かもしれません。何も起こらなかった可能性までありますからね。ドラマ性ばかり期待していると「何だったんだろう」となりがちです。
  • 本作は起こったことを起こったまま肯定した方が愉しめるタイプの作品。と同時に映像表現において、自分に合えばめちゃくちゃ気持ちいいタイプの尖がった作品。とりあえずしかしどちらにおいても、監督自身のやりたいこと、監督が突き詰めようとしている自分の色を出し切りやり切っていることだけは確かな作品だと思いました。言葉で表現するのは難しいですが“渾身”というやつがビンビンに伝わってくる作品です。少なくとも何かを模索したり実験してる感じはしなかった。これはこういうもんだ、という作り手のはっきりとした肯定感。これが作り手自身の勘違いだと話が違ってきますけど、そうでなければ僕はこういう作品が心地よくってしょうがないんですよね。
  • いわば、それほどコアではないものの、本作は魔女とか呪いとかダイスキー!悪魔復活ターノシィー!みたいなノリのデスメタルロックの、ホラー仕立てのライブのノリ。いやそんなの行ったことないんですけどね(笑)、しかしそういう高揚感と熱、いやさ、愛を感じるんです。ホラーとメタル、両方への愛。特に中盤の悪魔らしきモンスターの造形や豹変したハイジのメイク、そしてクライマックスの映像効果は監督の愛の炸裂そのものでしょう。ていうかそのものでしかありません(笑)。B級もかくやというあの安っぽさに怒りたい人は多いでしょうし、これは笑い飛ばす類の映画だと認識した人も少なくないかもしれません。しかし、ただのなげやりな安っぽさではないあのとち狂った安っぽさ、とち狂っていながらしかし安っぽさの中でどこか調和が取れているあの感じ、あの感じを極端にストイックなジャンル意識だと言わずして何と言いましょう。本作がありきたりだけれどこういうのでいいんだよこういうのでと思わせるホラーであるのと同じく、とある種の懐古という名の愛情が成した無欠の表現であると言わざるを得ないのです。
  • (4月2日追記挿入)デスメタルの衣装が笑われないのはライブハウスの中だけですけどね。観客が自分の気持ちを本作なりのそういう場所へ持っていけない限り、ノリに乗り昂ぶることは難しいのかも。
  • ちなみにしかし脚本の方、浮かばれないのがハイジだけじゃないあたりもなんだかすっきりしない、という意見にはまったく頷けないわけではありません。ただ、個人的にはこの作品、近頃ビッグタイトルにまでよく見かける「ビギンズ」だの「ゼロ」だの、いわゆる「前日譚」や「過去エピソード」のノリで観ればそれなりに愉しめると思うんです。もちろんそれは相対的に「本編」と言えるものがあって初めて成立する話ではありますし、そこを仮定でおぎなうのなら「本編」を想像することが前提になってくるので、そんなの面倒くさいという人はハイサヨウナラになってしまいます。とはいってもノリなので。「本編」を想像するフリでいいわけで。せっかく含みを持たせたエンドにもなっていることですし、そんなに難しい話では……さすがに無茶か。僕が過去バナ好きってだけのせいという話な気もします(ε_ε;)

3月21日『マニアック(2012)』


  • サイコサスペンススリラーの雰囲気を醸しながらなにげに『ピラニア3D』のアジャ監督が脚本に名を連ねている奇妙な本作(そこかよ)。いや実はスプラッター映画だったそうです。しかしわりとサイコスリラーとしても面白かったですよ。概ねよくできていた脚本の手柄だけではなく、最後はひとえに手法の妙。小技といえば小技ですが、こういうシックな雰囲気で完成度だけ高く脚本に新鮮味のない作品は、一つ尖ってて光るものがあると印象がガラリと変わって愉しいです。
  • 触れ込みになっている「主人公は殺人鬼。彼はマネキンしか愛せない」というのは、額面どおりに捉えてしまうと厳密には誤りです。少なくとも彼はマネキンを女性化して愛しているわけではなく、ちゃんと人間の女性に恋愛感情を抱きます。問題は、彼が幼少期のトラウマから性的な関係とプラトニックな関係の区別がつかなくなったり潔癖症のジレンマに陥ったりなどして、未熟なまま育たなかった良識の部分がくちゃくちゃになってしまったことで、ただ独占欲に従うだけのモンスターと化してしまったことにあります。彼自身愛情に飢えて異性を求めるのですが、自分の思い通りにいかないことがストレスとなって、じゃあ相手を殺してマネキンにしちゃえば思い通りになるね、という思考に何の障害もなく至ってしまうがゆえの殺人鬼なのです。
  • つまり厳密には「女性をマネキンにしてからでないと愛せない男」が主人公。まあ“意のままに動かせるお人形さん”を女性に求めているという意味では「“マネキン”しか愛せない」と言えなくもありませんが(人形が意のままに動かせるわけないだろ、とここで唐突に冷めた私的プラトニック)。そして実際、マネキンにしてしまったがゆえに自分の意のままにも“動かない”女性たちを見て、彼のフラストレーションは再び増大し、徐々により強い狂気に駆られていくことになります。計画性もないまま犯行はエスカレートし、それによってひたすら自らが追い詰められ、破滅へと向かっていくのです。
  • この狂気の主人公を描くにあたって本作は、ほぼ全編に渡って彼の目が捉えたもの、もとい、彼自身の視野そのもの(と彼が頭の中で想像したもの)だけを映し続けるという手法を取っています。時々彼自身の顔が映るのは、必ず彼自身が目を向けた鏡を通して。カメラという機材こそ劇中に存在しませんが、その役目を主人公自身の目が果たす、POVの亜種と言っても過言ではないでしょう。
  • この手法が画期的と言えることはないと思います。むしろモキュメンタリー以上に一度は誰かが思いつくのだけれど、何か理由があって実行に移されることはあまりない手法だったのだと思われます。本作は自らの閉じた世界と閉じた価値観の中で、孤独に狂気を育てていく男の短い物語。この閉鎖性やスケールのおかげで持ったとも言えますし、段階的に狂気に駆られ、さらについに共感し合える女性に出会えたかもしれないという、閉鎖性打破の可能性もぶら下げることによって、細かくパートが分かれていることで観ているこちらのストレスが抑えられてたというのもあるでしょう。鏡に“自分”が映る描写も要所要所に挙げられ、POVのような「撮影者が見えなくて不安になる」というジレンマを軽減するとともに、主人公が今どんな顔をしているのかという観客の好奇心を持続させることに成功しているものと思われます。鏡の多用と聞いて『ミラーズ』を撮ったアジャの存在がここで思い出され、ようやく合点もいきそうになるわけです(笑)。
  • またこの鏡に映る主人公を演じるイライジャ・ウッドがいい表情をするんですよね。ホビットやってた時からある目つきの独特さもさることながら、本作では子供のように泣きじゃくるオッサンをよりいっそう気色悪いものに仕上げていました。イライジャさんお仕事増えるといいね。

いいこと思いつきましたよ!明日エイプリルフールじゃないですか!
すれ違う人一人一人に消費税8%は急遽明日からになったって嘘つけば消費税あがる前に買い出しに出なかったバカだって思われることもな(バカすぎるのでカット