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case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

5月28日【映画録47『母なる復讐』】

※case.728の映画録は、5段落前後でまとめる参考記事を目指しています。
ネタバレするかしないかは各記事の都合によってまちまちですので、しててもしてなくてもご容赦ください。

5月23日 母なる復讐

「泣かないで、ママ」


1.少年法は悪法か否かみたいなところでは度々論争が起こりますね。今すぐ罰を受けやがれとなるのが普通の人情。将来的に更生して反省してくれれば、なんて当事者になっても悠長に考えられる人間はむしろ珍しい部類でしょうし、そもそも更生してくれる保証なんてどこにもない。昔教育学部の友達に少年法の論拠みたいなのは聞きましたけど、うろ覚えだなあ。理性の確立が未成熟ゆえに、むしろ責任能力が足りているかどうかが問題で――という話だった気がする。僕は法律とドラえもんをイコールにしたがる考え方がそもそもあんまり好きじゃあありませんが、いや責任能力とかどうでもいいからジャイアンを殺傷できる六法全書出してよドラえもーんって先に殺されたのび太が枕元に立った日にはタイムパトロール隊と一悶着起こしたくなるでしょう、ドラえもんだって。ていうか、法律で罰されなかったからといって加害者側が「勝てば官軍」「助かった〜」的な考えに落ち着かれるのが、正直に言えば一番怖いですし、なのにそれを本人以外の人間が防げるかというと…。


2.日本はしかし、まだ法律以外の社会の視線が厳しい方だとされていますが、おとなり韓国はどうなのか。よく聞く話では、成年未成年者を問わずですが、特に婦女暴行に類する事件の増大が騒がれているようです。“卒業式”と称して30人の男子生徒が1人の女子生徒を暴行した事件などは鮮烈でしたね。しかしあの話にはまだ続きがあって、結局逮捕されたのは男子生徒のほんの一部だけだったとか。少年法で許される云々以前に、レイプ事件の検挙率そのものが低水準で、捜査でも裁判でも被害者側に有力な情報ほどやたら懐疑的に見られるのだとか(ここは今改善に乗り出してはいるとか)。先に書いた「勝てば官軍」な考え方があちらでは根強いのでしょうか。少年たちには反省の色は見られず、むしろ被害者をあざ笑うことが目的であるかのように再犯を繰り返す。それで被害者の女の子が自殺しちゃったら、娘一筋だったシングルマザーが包丁持って復讐の鬼になるのも無理からぬこと。失うものは何もない。もはや生きる意味さえないのだから……というのがそのまま本作のあらすじと概要になってます。えらい遠回りになってしまった f(^^;)


3.復讐といえばちょうど『ノー・ワン・リヴズ』を観たばかりです。お誂え向きにレイプ犯の少年たち(あ、本作は30人じゃないです。3人です)がまあ絵にかいたような最低のクズ揃いで、親もまた絵にかいたような卑怯者揃い。これは一族郎党ノーワンリヴズかな?と少し勘違いしていたのですが、本作は復讐鬼と化した母親による痛快なスラッシャームービーなどではありません(僕だけか)。変な言い方ですが、本作は至極真っ当な復讐映画です。暗くて重たい。そしてやるせない。やめたくてもやめられない、やるしかないといった復讐の因果みたいなものがぐいぐい来ました。きれいごともまるでなければ開き直りも一切ありません。こんなに苦しいとは思わんかった…(;ω;)


4.何が一番つらいって、母親がまったく復讐の“鬼”になり切れていないところです。恨みつらみに染まり切って冷たい顔に刃のごとき眼光をして、音もなく背後に立ち首筋に華麗な太刀筋をスパァァァでもなければ、人間の爪は全部で20枚もあるけれど一番痛みを感じるのはどれかしらうふふ、でもありません。母親役はあの『黒い家』でまさにそんな役をやってたユソンなのですが、本作で嗚咽を漏らしてぶるぶる震えながら包丁を握り締める姿は、覚悟も何もできていない素人同然。なにしろ彼女はごく普通の一般市民なのですから、人殺しなんて怖くて仕方なくて当たり前なのです。これは演技の凄さでもありますが、心はこんなことやめたくてしょうがない、っていうのがありありと伝わってきます。その上で躊躇をしないのです。何かにつき動かされるように、もうこの体は娘の仇を殺すこと以外の命令を受けつけなくなってしまったとばかりに。個人的には車で何度も轢き殺すシーンがすごかったです。首から下が呪われているかのようなハンドルさばき。


5.そんな内容だけに相当に地味なのは確かです。触れ込みの時点ですでに娘が自殺してしまうことがわかっているのですが、そこまでが長くて退屈だと思う人はいるかもしれません。娘が死んでいく過程もやたらゆっくり見せられて、ここ必要なのかなあとちょっと眉をひそめそうになったり。後半も痛快ではないのでそのための“溜め”やじらしではなかったのですが、どういう気持ちでどのようにして死んだのかということを、死んだという事実も含めてじっくり教え込んでくるような描写だったからでしょうか。ケーキは無理でした。事前に買いに行くシーンがありましたから、まったくもって“来る”と分かっていたのに、無理でした。ぶっちゃけ先述どおりの退屈さで冷めかけていたために、特に心にこたえることはないだろうとあらかじめ思ってさえいたのに、あの瞬間は無理でした。



しばらく痛快系ばかり観ていたので、そろそろ心苦しいのばかりに変わっていく予定です。
息子のまなざし』とかまた観たいなあ。あれはもうDVD買えばいいですね。

日に日に暑くなってきて、いつかの夏のアニメも思い出されてきたところ。もう毎年の恒例です。ていうかちょっと早いのですが待ち切れなくなってきました。切ない系の刺激にも飢えてるんでしょうかねえ(−ω−`)


息子のまなざし [DVD]

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AIR 1 初回限定版 [DVD]

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