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case.728

映画とお人形ばかりで恐縮です

氷河のようにしか流れない筆でも

遅くとも流れるだけマシだがガチで止まることだってある。筆のチューニングがてら久々にブログの更新でもしよう、と思ったら、ちょうど目に入ったはてなの「今週のお題」がちょっと書けそうなので、珍しく便乗してみる。

 

今週のお題「いま学んでみたいこと」

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昔からそうだがこんなもの、まずありすぎて困っているのでよりスムーズに処理できる方法があるなら先に学んでみたい。自慢ではない。まず生来から影響を受けやすいのが誘因だろう。

最近は『不毛地帯』を半年くらいかけて全巻読み終わった。主人公・壱岐正の一人の男としての生き様に手に汗握りもしつつ、俄然、商社機能や為替相場、取引市場なんかにも興味が湧いた。自分がお金を稼ぐ分には取り立てて目が向いていなかったけれど、思惑あまた渦巻いて暑苦しくかつ後ろ暗い世界には、忌避するより先にどうしてもそそられるものがある。商社マンとしての人生など冷や飯食いまで含めて今のところ縁遠いのも理由だろう。他人事でなければ胃に穴が開く程度では済まない世界だ。凄まじさだけにゾクゾクする。ムクムクと湧いてくるのは手がけられたらという筆の虫だが、その勉強が将来的には投資に参加するという形で役に立つ可能性もないではない。

今度新しく読み始めたのは『魍魎の匣』。読み始めたばかりなのできっかけの話だけ。人物の掘り下げが脇に追われがちなミステリはあまり得意なジャンルでないが、奇譚の気があるものはまた別だ。『姑獲鳥の夏』をずいぶん前に読んでいたものの、シリーズものや作者追いに妙な敬遠意識のある自分は次巻のこれをずいぶん長いこと書棚へ“嵌め殺し”にしてあった。手を伸ばしたきっかけは一昨年の岩井志麻子の新作があまり自分の好みに沿っていなかったせいかもしれない。一方で、妖怪や物の怪にまつわる寓話、怪異譚から来る素材の香りにはいつも胸躍らせている。そういうものに始まる、いわば「暗い民俗学」にはかねてより造詣欲が尽きない世界だ。かつて少年心には外国のそういうものにときめきを覚えたものだが、今はどうして日本の一種異様な奥深さを抱えるいにしえが面白い。独特という言葉は月並みで空々しいが嘘はない。

また、しばらく前から向精神薬と依存性薬物の知識を集めている。依存性に関わることや中毒患者の心理などは所詮表層をなぞるだけの知識の獲得にとどまるだろうが、それらの介在を前提とした社会の機能なり構造なりを掘り下げてみたい。個人的な推察としてだが、かつていにしえにはおそらく黄金と生糸と香辛料などに続く第四以降の貨幣だったとも考えられる。人間が精神的な存在でもある以上、クスリは心身双方それぞれの意味で生命にかかわり得るのだ。そこへ薬学の倫理もあえて排さずにおくことで、エセ社会学とはいえ高度な仮想で思索を起こしていきたい。必要なのはどちらかといえば歴史の知識だが、先に底流となる薬物自体の知識をそろえなくては。

スマホにはただの一冊だけ「電子書籍」が入っている。『聖書』だ。特に信心はない。かといって歴史なりとすり合わせて何かしらを暴き立てたい批判的精神もさらに皆無。真実がどうのこうのにはまるで興味がない。ただ、世界中の信心深い人々や批判的精神豊かな人たちが一体何に傾注しているのか、知らずにいるのももったいない。世界で一番読まれている書籍でもある。入手は容易。ただ分厚いので本棚の肥やしになりそうだし、車内のポケットに入れておくのもなんだかきまりが悪い。いわんや服のポケットをや、銃弾でも受け止めるつもりか。適当にめくってみて人々が引用したがる句に目をとめてみればいいのだ。実物を介して、信仰とともに生きる人々の価値観に少しでも触れられたらと思う。これは前にも書いた。

他にもまだある。上記のような学術的興味なら、たとえば産婦人科学関連とか。動機は長いのでともかく割愛して、どうしても倫理と心理学へ飛びつきたくなる性分だが、科学としての知識らしい知識も前提や基盤として得ておきたい。

また、およそ趣味の延長として学びたいこともある。洋裁、フェイスメイク、ネイルアート。ドールのセルフカスタムまではちょっと果てしない道のりだが未だ考えることはやめていない。またお金があればカメラを買って写真の勉強もしてみたい。画像編集ももっと研究して、ていうかむしろペンタブなんかも買ってへたくそでもいいからモニター上にイラストを起こせるようになりたい。根本的に絵画の勉強もやり直したい。平面だけじゃなくて立体にも興味がある。まわりまわってレジンの取り扱いに帰ってきたりもしている。見識欲だけならガラスや陶芸にもある。

 

さて、集めた知識をどうするのかといえば、そんなことは最初からただの一つに決まっている。唯一無二に決まり切っている。生来この方なおもあくまで、七津は自分の世界を創造することにしか興味がない。そしてその創造世界に「社会」を内包できるバイタリティを求めてやまない。障害は多く問いに答えはなく懊悩は尽きず業は無意味に深すぎる理不尽で合理的な社会である。バイタリティとは知識のことだ。幅広い好奇心に基づく多様な知識の集積が、あたかも人間が感情を習得するように、複雑な社会を設計していくための回路を繋ぐだろう。慈しむべきものとして創造する世界とは、可能な限り“高度”でなくては意味がないのだ。

孕んだ空想の胎教のために奔走し続けたい。いつしかか細い陣痛に慣れ、脳の子宮で胚が腐りゆく不安にもめげず。

 

不毛地帯 DVD-BOX 1

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ていうか何はともあれ小説は面白かった。ドラマも観てみたい。