ドルシネ・サロン第8回 『インターステラー』とロマンチック考
- ドルシネことcase.728の《ドールdeシネマパラダイス》は我が家のドールたちのダベリ場です。映画に関する話題をそこそこ真剣かつテキトーに。
- ネタバレは少なめですが、物語の核心に触れていることはあります。今回は普通にネタバレ注意。
- ドールたちの設定は我が家のオリジナルです。詳しくはブログ紹介記事を参照。
- 今回はオムニバス記事です。タイトルの一作品について掘り下げているものではありません。
『インターステラー』
オススメ度:★★★★☆/満足度:★★★★★
(シェツゥ)『インターステラー』はロマンチック。異論は認めるけど反論は認めない。
(ゆね)またえらいキリッとして強気な…。
(やわわ)『インターステラー』の記事は二回目だね。一回目は劇場で観てきたパパのソロ記事だったけど、確かおんなじようなこと言ってたよねぇ。
そして先日DVDレンタルがスタートしたのを機に、我々がじっくりと再観賞してみた結果、初見の不安定な感想が確信に変わったというわけさ。
なにしろ知ってて観ると序盤から全部切ないもん。
序盤っすねえ。さすがノーランって具合に怪しげな伏線というかミステリが乱立してましたけど、最終的にそのどれもがクーパーとマーフのその後の因果から繋がってたことがわかりますからね。クーパーを含めて誰もが眉をひそめてたような怪奇現象が、実は、ってギャップもまた心にくるっす。
(リュシカ)「まさかコンバインを見て涙腺が緩む日が来るなんて思いもしなかった」親父殿より、だぞ。
(フィセ)(;´∀`)=3
「わたしだけじゃなかったんですね!」フィセ姉やより。
ヤーダかーわーうぃーうぃー↑゜
Σ(=д=;;;)!!?
(ハロルド)コホン。えぇと、そうですわね。わたくしはそういったロマンチックな要素の数々が、先にSF的な方面の“ロマン”から裏打ちされていることに、おかしみを覚えますわ。
めちゃくちゃ壮大でマニアックなジャンルの軌道上から重力ターンで加速して普遍的なところへド直球。自分が思うには、これぞ芸術的で人間的な脚本として、最上級の在り方だ。終盤のぶっ飛んだ展開も、ロマンだから許せる。
(くうり)趣味と言ってしまえばそれまでなんですけど、ある意味究極的に趣味に走った映画かもですね。趣味に合えば感じ入れますけど、趣味に合わなければ終盤の超展開が引っかかる。まあ趣味に走っていると認識できれば、傍目にそこが痛快という感想も湧きそうですけど。
作品作りで趣味に走るっていうのは、それはそれでメタ的なロマンでもあるんだよ。その“重力ターン”を経て、『インターステラー』のような哲学的な愛の話へ辿り着くなら、それはもうロマンチック以外の何ものでもなくなる。そして愛に関する哲学もまた、監督の趣味と言い切れそうなあたり、ロマンチストな監督のロマンチズムが爆発してることを肌で感じざるを得ないのさ。
~ ロマンチック考 ~
(ノセ)そこまで趣味に走って“重力ターン”しようとできる映画監督さんというのは、クリストファー・ノーランさん以外にいるのでしょうか。
まったく同じ姿勢で“ロマンチック”へ行き着ける人は、なかなかいなさそうだよねー。でも、そもそもこの記事で言うところの“ロマンチック”って、なんだかそこらじゅうで大安売りしてるロマンチックとは別物みたいだけど、要するに何なのかなぁ、りにちゃん?
(りに)愛だよ!それは!
りにちゃんも大安売りだね。
いやぁ、その、なんか今日のやわちゃんがやけに怖いっていうか、うーん(; ̄~ ̄)、いやまあ、普遍的な愛の話と言えば確かにそうですし、作り手なりの哲学が備わっていてこそとかまあ条件は付けたいんすけど、一辺倒に愛の話と言ってしまうのも語弊があるというか、間口が無駄に広いというかある意味狭いというか……
たとえば、そう、『ブレードランナー』は、後味悪かったりするけど“ロマンチック”っすよね?
なるほど、確かにあれは電気羊の夢から着想を得てもいますし、そう見えますか。
それならあたしは、ちょうど『インターステラー』と一緒に最近観直した『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ -宿命-』を挙げます。“愛”の存在は希薄ですが、それでも親子のつながり、結びつきについての話でしたし、二つの家族の小史として織り成される叙事詩的な味わいが、やはり“ロマンチック”でもあったと思います。
具体的なコミュニティたる家族のつながりよりも、目に見えない血のつながりの方を強調した、という意味では、手広くやらずに趣味に走ったようなものでもあったね、スケネクタディ*1。
じゃああたしは、『ローズ・イン・タイドランド』を推そうか、控えめに。
どぉーぅこが控えめなんですかねぅい?(^ω^;) 変態中の変態、パッと流し観ただけでもヤクチューとロリコンとネクロフィリアがネオンサインのごとく踊ってるケダモノじみた看板持ち出してくるとか。
危険地帯すぎてロマンチックに逃避しないと無理なのよ?何かが。
ま、まあ、「女の子の冒険心」みたいなものが非常によく詰まってはいますわよね。現実の過酷さも、その中での天衣無縫の振る舞いもすべてひっくるめて、むしろ危険な取り合わせだからこそ、ちょっぴり憧れてしまう部分もあるのですわ。妙に共感できたという女性の感想が多いらしいのもそのせいですわね。親に置き去りにされ、知らない誰かに拾われるシチュエーションには悲しみを覚えつつも、心のどこかではなぜか惹かれてしまいますの。そんなものを再現してしまえる監督となると、夢想する少女の少女性を崇拝している変態以外にありえない気もしますわね。
冷静にひたむきな趣味に走ったもの、ということでしたら、『ビザンチウム』なども挙げてみたいですわ。ロマンチックとしては少々わかりやすすぎますかしら?
そもそもロマンチックなものが多い吸血鬼ジャンルですけど、それをよそにして独自性のあるものを作って、その上で同じジャンルのロマンチズムへ帰ってきた、という感じはありましたね。特筆したくなる気持ちはわかります。
『ザ・マスター』は外したくないのだけれど。
あまりにもガチ。
あまりにもガチ。
シャレにならん。
ロミオとジュリエット100個分くらいあるのだぞ。ワタシのロマンチックは53万です。束になっても敵わないから殿堂入り禁止カードに指定しておいた方が無難なのだぞ。
みんな何をそんなに恐れているの?(^^;)
そんな怪物を尻目に『ハードロマンチッカー』(^ω^)
シャレにならん、消し飛ぶ的な意味で。
あの作品はあの作品でいいところあるけど、この記事と関係ないからやめようね?一匹狼の純情ヤンキーな松田翔太がかっこいいだけだからね?
(こと)みんな、『パンズ・ラビリンス』忘れてる。
忘れてはいませんが、また容赦ありませんわね。あの作品の、特にラストは、確かに“ロマンチック”と取ることも可能ですけれど、簡潔にそう言い切ってしまうのには抵抗がありましてよ?
どっちかというとギレルモ作品にしてはあれの趣味に走り具合が控えめなのか、むしろその逆なのかの方が興味深いのだぞ。ダークファンタジーの方はおそらく突っ走ってるけども、戦争描写が趣味だとは思えないのだぞ。話脱線しすぎるけども。
じゃ、『愛、アムール』。
うぅーん、どうしよう(・ω・;)
目を背けきれない引力がありますよね。愛ゆえにとか、希望願望的幸福論という名のロマンチズムと言い張れば、誰も否定できない内容ですから。
『ムード・インディゴ うたかたの日々』とか?
あれこそロマンチズムからの脱却に近いよ。普通は日常(リアル)を非日常(ロマン)が侵食するものだけど、あの作品ではリアルがロマンを侵食して崩壊へ導いてる。
どちらかといえば『チキンとプラム ~あるバイオリン弾き、最後の夢~』の方が、近いようで真逆の順当なロマンチック。掴めずに過ぎ去った愛も、焦げついてしまった愛も、それらは非情な現実が所以だけれど、愛は愛のままそこにあり続けはしたっていう切ない話だからさ。
『エレファント・マン』
核弾頭。
うげげげげ(*◔౪◔)
誰もが持つ普遍的な願いと理想的な終焉とが重なることを、“ロマンチック”として銘打ってしまうのはあまりにやるせないですが、しかし誰も否定できない、という意味でのうげげげなんでしょうけど……さっきからこと姉さんとその周りは何と戦ってるんですか?(^_^;)
いやしかし、『エレファント・マン』が出たおかげで見えてきたものもある。純粋なロマンチズムとして己(監督)の趣味や哲学に走った秀作というのは、どこかしらに“勝ち逃げ”的な要素を含んでいるんだ。勝ち逃げややった者勝ちという言葉が自虐や露悪に取られやすいなら、批判や主張、エンタメの剣盾さえ本質に持たない“丸腰”とでも言い直そうか。
なるほど。同じ土俵に立たない限り闘えないし、わざわざ闘う意味もない*2、という意味では、確かに“勝ち逃げ”のようではありますわね。余所様の趣味を真っ向から否定するのは惨めで詮無いですし。
キモイならキモイと言っといていいと思うけどね。とあるギリアム氏とか。
あんた自分で挙げといてからに…。
とはいえ、土俵の外でどんな声をあげても、いかに神妙な批評でも、それらは終始雑音にしかならない。そこまでの“土俵”をこさえてしまえるというのが、ある種“趣味(や哲学)に走る”ということなのかもしれないね。
『インターステラー』の終盤超展開は、そもそも批判する意味なしと。
してもいいけど、『ノートルダムの鐘』の結末で誰と誰がくっ付いたかって話と同じさ。作る側の視点に立っても、それはつまらなくて虚しいだけだよ。
ほへ。ロマンチックって最強なんだねぇ。
完璧に独壇場だから無敵なだけとも取れますけど。
すなわち『ロード・オブ・セイラム』。
絶対ちがう。
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*1:モホーク語で「松林の向こう側」、すなわち『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ(-宿命-)』の言い換えであり、長すぎるタイトルを彼女はこう省略した。また、作中で舞台となる町の名前でもある。
*2:(作り手の)性根を叩き直してやりたいとか、こんな性根のやつは叩き潰してやりたいという志があるなら、闘う意味もあるのかもしれないが。